脱SEして文筆家になった人

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脱SEして文筆家になった人

四ツ葉真生(よつば まお)の過去ログ。twitter共に不定期更新。

テイスティーアドバイス


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Self Review
4月締め切りコンペ用エッセイ。久々の書き下ろし。

前年にも同様のテーマにて書いていると思うのだが、相変わらずまったく私は進歩がないなぁと思う。

ネタ的にはいずれどこかでこの話題を書きたいと思っていて、その点においては幾ばくかの達成感はあるのだが、いかんせんどうしても食に関するものを描くのは難しい。

オチとしてもうまくまとまったのか弱いのか。それこそエッセイという分野においては、より想像力をはたらかせられるように、情景が浮かび上がるような文体作りを心がけなければならないだろう。
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   テイスティーアドバイス
 
 私は幼い頃から、とことん体が弱かった。

 それこそ小学生の低学年の時には、ろくに登校さえ出来なかったほどだ。

 当然に勉強などまるで付いていけず、成績は学年で下から数えた方が格段に早い劣等生であったと思う。

 しかし私も高学年になる頃には徐々に健康的な体を手に入れ、それなりに勉強に熱を入れるようになり、成績も少しずつ上がってきていた。

 私には一回り以上歳の離れた姉がいる。そのとき既に姉は社会人であったが、非常に頭が良く、そして面倒見も良かった。

 まるで第二の母のように私と遊んでくれて、ご飯を作ってくれて。その姉に褒めてもらうことは、私の至上の喜びだった。

 ある日私は、久々の好成績の答案を片手に、姉に結果報告兼自慢に向かう。

 しかし姉は私の方に目もくれず〝八十点以下じゃ点数の内に入らないよ〟と軽く一蹴。

 これは心底悔しかった。私は自分なりに頑張ったのだ。しかも万年ビリに近い成績を大幅に更新したのにもかかわらず。

 だが私は姉のその言葉を受けて、以後より一層奮起した。そしてついには学年トップを勝ち取ることになるのだが――

 当時姉が私に勉強の合間の差し入れとしてよく作ってくれた料理がある。

 『ポークピカタ』と『ヨーグルトケーキ』

 肉は醤油で煮る焼くがメインの母の手料理に対し、豚肉がふんわりと卵に包まれ、そしてピリリと胡椒がきいている姉の作るポークピカタは、幼い私には衝撃的であった。

 さらにはデザートとしてお決まりのヨーグルトケーキ。ケーキと言っても今よく考えるとババロアと表現すべきだろうか、酸味が強めなヨーグルトに少量の砂糖とゼラチンを加え、薄塩のクラッカーの上に固めたものだ。これも、甘ったるい物が嫌いだった私の子供心を動かすには十分斬新なものだった。

 そんな姉とつい先日、久しく昔話に花を咲かせていると、例のあの時の『暴言』の話題に。すると姉は笑いながらこう言う。

「あれはワタシの教育方針よ。おかげで学校で一番の優等生になれたじゃない?」

 あはは、よく言うよ……あの時の私がどれほどショックで、その後どれほど必死に勉強したことか。

 でも、そうだ。思い起こせば姉の助言はいつも一味違うのだ。

 まるでポークピカタのようにスパイスのパンチが絶妙で、そして食後のヨーグルトケーキのように、後にはキリっと口直しになって。

 その姉もいまは一児の母。初の子育てに毎日四苦八苦しているようだ。

 よし、私からも姉に叱咤激励を贈ろう。

「子供一人じゃ子育ての内に入らないよ」
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