動物好きの人は、動物看護師という資格に憧れる人が多いかもしれませんね。
そこで、動物看護師の資格って、どうやって取るの?
動物看護師の仕事ってどんなことをするの?
ということが気になる人へ、動物看護師として勤務経験のある私が詳しくご紹介していきます。
動物看護師に資格は必要なし。でも、知識や実務経験が必要
これから動物看護師を目指したい人は、まず次の2点を知っておく必要があります。
1点目が、「動物看護師」という資格は特にないということです。
2022年現在まではあくまでも、動物病院で医療提供をする獣医さんのお手伝いをする人の名称として使われてきました。
ですから、医療行為はできません。
2点目に、動物看護師資格は今後「愛玩動物看護師」として、新しく国家資格が誕生する予定があるということです。
ただし、この国家資格は絶対に取らなければいけない、という状態にはなっていません。
動物看護師資格の勉強をするには専門学校がおすすめ。大学という選択肢もアリ
動物看護師の資格は、上述の通り資格取得が必須ではありませんが、動物看護師の勉強ができる学校があります。
その学校には大きく分けて2つあり、動物関連の大学と、動物看護師の専門学校です。
この2つの道の違いとしては、大学では実地授業(実務の授業)の場がほとんどなく、動物病院で体験勤務ができるインターン制度を利用した実務経験を学ぶことが多くなっています。
一方、専門学校の場合、動物看護に関する専門的な知識を学ぶことになるので、授業と実地授業を並行して行います。
また、「トリマー」の資格取得が必須である学校が多く、黒板授業というよりは実務授業がメインとなるところが多いです。
現在では、動物看護師の実務内容の知識を学べる通信講座も充実しているので、学校に行く暇がない人でも勉強することは十分に可能です。
ちなみに、私自身は大学に通いながら、動物看護の専門学校にも通っていました。
そんな私の経験から言えることは、動物看護師さんになりたいのであれば、動物看護師の専門学校はとてもおすすめです。
なぜなら、入学当初からみっちりと、動物看護の世界について実技を含めた勉強ができるからです。
大学では別の分野の勉強をしながら、個人的に動物看護の専門学校に通ったり、通信講座を使ってトリマーやドッグトレーナーの資格だけでも取ってみる、という方法も、おすすめですよ。
動物看護師の専門学校ではどんなことを学べるのか
ではここから、動物看護師の専門学校では実際にどんなことを学べるのか、初期費用は幾らくらいなのか、ということをご紹介していきます。
まずは費用についてですが、専門学校の知名度や卒業までの年数などで差が出てくることを含め、2年で卒業する場合、入学金と、授業で必要になる「道具」の購入費用が最も負担が大きくなります。
大学とは違い、実地授業が多いため、トリマー系の道具、例えばハサミやブラシ、ドライヤーからバリカンに至るまで幅広く専門的な器具(道具)の購入が必須であることがあるためです。
一般的な専門学校の入学金が20~30万円の相場なので、プラスして10万円前後の諸費用がかかるというイメージですね。
次に、どんなことを学べるのか、という点についてですが、対象動物が主に犬や猫といった哺乳類となります。
授業形態としては、学校によりますが、ペットの生態や飼い方、育て方、病気の種類、去勢や避妊手術の実際の映像授業など、1年次から深く学びます。
トリマーの分野では、シャンプーの仕方やブラシの正しい使い方、ドライヤーの使い方など、器具の扱いについてじっくり学んでいきます。
動物看護師が働く場所は、動物病院が最も多い
動物看護師の一番多い勤務先は、動物病院です。
私は動物病院で働きながら、別の仕事をしたりしていましたが、多くの人は動物病院での勤務が主になるのではないでしょうか。
そして、人間の病院との大きな違いが、動物病院は土日が最も忙しい、ということです。
なぜなら、扱う動物が「ペット」だからです。
多くの人がお休みの日に、ペットの相談が多いのは想像がつき易いですよね。
ですから、私の場合は普段の仕事がお休みの土日に動物病院で勤務する、といった変則的なスタイルをさせてもらったりしていました。
動物病院では、水曜日や木曜日が定休日だったりするので、その分土日は開いているというわけです。祝日はお休みが多いです。
動物病院での仕事内容について
そんな動物病院でのお仕事内容は、実に多岐に渡ります。
動物病院の規模によりますが、多くの動物病院では、受け付けも、一般の病院のような「医療事務」的な会計業務も、並行して看護師さんが行うのがスタンダードです。
この理由は、人手不足であることと、動物病院の規模として圧倒的に個人病院が多いからです。
そして、患者さん(ペット)を獣医師が診るときは、そばについてお手伝いをします。
医師から指示のあった薬を用意する、暴れる犬や猫を押さえる、獣医師が診やすいように固定する、といったことが、診察中の動物看護士の役割です。
包帯を巻くなどの行為は獣医師と一緒に行う場合もあります。
薬を実際に動物に使用する、注射を打つ、といった医療行為は獣医師しかできませんが、トリマー資格のある人なら、爪切りや被毛カット、シャンプーを行うことができます。
お仕事を一連の流れで説明すると、受け付け→診察→お会計業務→後片付け、といった通常の診療時のすべてに携わる必要があります。
さらに並行して、患者さん(ペット)のカルテの管理や、様々な医療器具やガーゼといったものの管理や在庫確認をし、トリミングのお仕事ができれば、そちらも行います。
泊まりで治療を受けている動物がいれば、その衛生管理も行います。
つまり、ひと言で言ってしまえば、獣医師さんにしかできないこと以外はすべて行うのが、動物病院での看護師さんのお仕事、ということなんですね。
ただし、勤務形態によっては看護師が1人ではないところもあるので、会計の人、中で働く人、のようにシフトで分けている場合ももちろんあります。
動物看護師のお給料は?
動物看護師のお給料は、働く動物病院の医師や経営者が決めることがほとんどなので、一概に幾ら、という決まりがありません。
アルバイトと正社員との違いはありますが、基本的にはその地域の最低賃金を下回ることはあまりないと考えて問題ないでしょう。
ですから一般企業と比べて考えても、そこまで低くはないと言えます。
ただし、専門的な知識や即戦力が求められる分野のお仕事なので、動物の救急外来などで働く動物看護師さんのお給料は高めですし、実務経験によってお給料に差が出てくることがあります。
ですから、初めはアルバイトから始めてみて、正社員を目指す、という働き方も、実務経験を積む上では、おすすめしたい働き方ですね。
動物看護師の働きがいや、働きたい人へお伝えしたいこと
動物看護師のはたらきがいは、たくさんの人・動物に携わることができることと、人に感謝されることの多いお仕事であることです。
ただし、動物病院に来るのは、何かしらのトラブルを抱えたペットたちが大多数。
長く働くにつれて、かかりつけのペットさんが亡くなってしまった、といったことも起こります。
動物は、人間より短命なのでなおさらそういう機会は多いかもしれませんね。
私は鳥も診られる病院に勤務していたので、生き物があっと言う間に具合が悪くなっていく場面に、たくさん立ち会わせていただいてきました。
ですから、命の大切さを身を持って感じられる、というところも働きがいのある部分です。
そんな私が、これから動物看護師として働きたい人へお伝えしたいのは、動物が好きであるだけでは、少しキツイお仕事かもしれない、ということです。
こんなことを書くと、ガッカリする人もいるかもしれませんが、これは正直な感想です。
ですが、この動物や生き物が好きである、という要素は逆に言うと「最も大事なこと」でもあります。
好きでなければ務まらない分野で、人や生き物の役に立てるお仕事、それが、動物看護師というお仕事なのですね。
ここまで、経験者として動物看護師についてご紹介してきましたが、ご参考になりましたか?
これからは、動物看護の世界も働き方がずっと柔軟になってくると思われます。
ですから、動物が好き、ということを生かした働き方をぜひ模索してみてください。
寄稿者:よつばワード
編:yotsumao