よつまお

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「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」など菅野ひろゆきゲーを熱く語る回

(約21,000文字) ――私は激怒した。必ず、かのリメイクの名を借りた別ゲーっぷりを明らかにしなければならぬと決意した――

 

ある日ネット上を散策していたら、YU-NOのアニメ化の話題を見つけたわけよ。

もうね、ついに来るべき時が来たか、と思ったよ。嬉しさ半分、怖さ半分。

 

何事も、そりゃ時代が流れれば、それに伴って常にカタチは変わっていく。

昨今の"リメイク"という作業によって、それは次世代のファンを獲得することにもなるだろう。

 

だが、得るモノがあれば失われるモノもある。 

思い出補正と言われようが、懐古厨と言われようが、菅野作品を愛する永遠の一ファンとして、当時の本来の"あるべき魅力"を記しておく必要があると思ったわけよ。

 

とはいえリメイク全般を真っ向からディスる意図はさらさら無い。

ソレはソレ、コレはコレ、なだけだ。

だから、思いの丈を雑多に綴りたいだけで、あの作品って昔の印象はどうだったん?程度のことを伝えることが出来ればそれで十分。

 

ちなみに菅野氏が活躍していたのは90年代からゼロ年代なので、今更ネタバレとか関係ないと思うのだけど、

ゲームのオチやストーリーの核心部分がほんのわずかでも知りたくない人はブラウザバック推奨。

 

※唐突に登場人物の名前やゲーム内用語がさらっと出てくるけれど、それは分かる人にとってだけ分かればよくて、

多くの未プレイ者にとっては「ふーん、そんな感じなのね」程度に流してくれればおk

 

また、ADVやノベルゲーおよび菅野作品が好きなのなら、

長大なテキストを読むのは全く苦にならないはずなので、権利関係的にも実際のゲーム画像などは一切入れない。(注:言い訳です。正直画像探しがキツいのが本音w)

 

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そもそも菅野ひろゆき(剣乃ゆきひろ)ってどんな人?

多くの名作を世に送り出した稀代のゲームデザイナーでありシナリオライター。

一時期はプログラミングも担当していて、とりあえず一人でなんでも出来るマン。

 

おそらく彼の作るゲームに影響を受けてクリエイターになった人も決して少なくないと思う。

 

わりとSFチックな世界観の物語が好きな人だったんだけど、それゆえにタイムトラベルがテーマになった作品も多いね。

あとはミステリ好きが高じて登場人物としても探偵が出てきたり。これは彼にとっての憧れの職業でもあったのかなぁ?

 

今となっては決して目新しいストーリーではないものの、

当時のゲーム市場、そしてアドベンチャーゲームにおいて「探偵モノ」というジャンルに対し、

ドラマチックなシナリオと画期的なシステムを付加した最初の数少ない一人だと思ってる。

(※主観です。探偵といえば、神宮寺三郎シリーズも定番人気だったよね。)

 

剣乃ゆきひろ時代(シーズウェア~エルフ)のこと

私にとっては、むしろこの「剣乃(けんの)」の頃のイメージが強いんだよね。

 

なんで名前二つあるの?ってことについては、単にペンネームが後々「菅野ひろゆき」名義に変わりました、って話なんだけど色々と複雑でね。

まーざっくり言うと、大人の事情というか、権利問題っていうかw

 

さてそんな剣乃氏、最初はとあるゲームメーカー(いわゆるエロゲー会社)のC's Wareというレーベルに所属することになる。

 

そこで生まれた初期作品が1994年の「悦楽の学園」。個人的にはこれには正直思い入れがないw 

でもこれも彼が初めてシナリオ担当したゲームとして、剣乃作品を語る上では出発点として欠かせないものだよ。

(なお、プログラマーとしてはこれより前に「禁断の血族」も制作している)

 

続いて、やって来ました同じく94年「DESIRE(デザイア)」。後の剣乃三部作と評される記念すべき最初の1作。

そして94年末には「XENON」。これも「悦楽~」同様あんまり思い入れはないw

 

(この後に「エイミーと呼ばないでっ」の制作にも関わっている。

時代的にわりと無理やり系の犯罪臭漂うダークネスな世界観も多かったエロゲー業界の中で、いわゆる「バカゲー」テイストでとことん明るく突き抜けた作品。

※当該ゲームキャラが、後のバーストエラーのSS移植にてファンサービスとしてチラ見えでカメオ出演。)

 

さらに立て続けに95年「EVE(イヴ) バーストエラー」。今でも根強いファンがいる屈指の人気シリーズの元祖だね。

 

このburst error発売をもって、シーズウェア退社。

そして当時のエロゲーメーカーの雄であり「野々村病院」、「同級生」や「下級生」シリーズでも有名な「elf」に入社することになる。

 

そこで生まれたのが掲題でも言及している永遠の金字塔「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(ユーノ)」96年だ。

これは当時の次世代コンシューマゲーム機時代にも後押しされ、早々と97年セガサターンに移植される。

 

菅野ひろゆき時代(エルフ~アーベル)のこと

さて剣乃三部作(DESIRE、EVE、YU-NO)がSSに移植されたことで、人気は絶頂期を迎えるわけ。

そのタイミングで剣乃氏はエルフから独立、自身が代表を務める会社Abelを立ち上げる。

 

まぁここで前述の大人の事情発生w それによって以降は本名の「菅野ひろゆき」と名乗ることになるんだね。

 

新天地でも当然創作欲は尽きない。

98年には泣きゲー(個人的には「?」マーク)と評される「エクソダスギルティ―」、2000年には「不確定世界の探偵紳士」、04年には「ミステリート」を世に送り出す。

 

まぁちなみに後で振り返ってみればなのだけど、個人的にはこの「探偵紳士」辺りで菅野氏の才能は「枯れていた」のかもしれないね。

 

いや、これでもかなりオブラートに包んだ言い方なわけ。

厳しめに見て、探偵紳士からミステリートまでの空白の4年間が決定打だった。

 

もちろんゲーム業界に舞い降りた不況の波とか、あるいは競合他社との生存競争的な面もあったのかもしれないけど。

 

だから後述していく各作品についても、熱く語れるのは探偵紳士までがギリギリレベル。

 

さて初代ミステリート以降も地道に活動は続けられていたんだけど、時は流れて2011年。

菅野氏は突然病に倒れる。そして12月には脳梗塞によりついに帰らぬ人になってしまった。

 

享年43歳。あまりにも早すぎる生涯に、ショックを受けたファンやクリエイターは数えきれないだろうね。

 

だからこそ私たちは「あの時の輝き」を忘れてはいけないし、

仮に最初はリメイクから入ったとしても、出来ることならその後に当時のありのままをプレイしてもらいたいと思ってる。

 

そこで次項からはいよいよ各作品紹介&レビューをしていくよ。

 

菅野ひろゆきゲーの世界

先述のように、悦楽~ミステリートまでが剣乃時代を含めた正統な菅野作品ってことになるわけ。(※主観です。一応ミステリート以降も作ってる)

私のように作品の発売が青春期にジャストミートした世代にとっては、忘れられない一作となったものもあるはず。

 

まー、個々によって魅力や評価は様々だと思うんだけど、完全に独断と偏見で各作品を紹介していくよ。

(というかぶっちゃけDESIRE、EVEシリーズ、YU-NO、探偵紳士さえ語れりゃいいw)

 

その中で「あ、これ気になる作品かも?」って誰か一人でも思ってくれたら幸い。

 

悦楽の学園

初代はPC-98版、後にWin版に移植。小説や設定資料集も発売されているよ。

 

ストーリーとしては、とある女子高を舞台としたサスペンスもの。そこで起こった事件を解決するために派遣されたエージェントが不可解な失踪を遂げる。

真相を探るため、同じ組織のエージェント(主人公)が学園に潜入していく。。

 

、、と言えば聞こえはいいんだけど、完全なる18禁ゲーム。エロ描写が山ほど出てくる。

 

まぁそりゃそうで、当時のパソコンゲームってのはむしろ売れるためにはそういった過激な描写が不可欠で、購入者側にとってもアダルト要素が強く望まれていた時代だったんだね。

この方向性が転換したのは「Kanon」や「リトバス」で有名なkey作品が一つのきっかけかもしれない。

 

あえてテーマを挙げれば同性愛とか薬物への依存とか言ったものになるんだろうけど、深い考察が出来るわけでもなく、大どんでん返しがあるわけでもないので、今となってはごく普通のストーリー。

 

ゲームシステム的には当時の主流だったいわゆる「コマンド総当り方式」になっているよ。

 

だがこの作品の真の魅力は、登場キャラクター。

後の「EVE」シリーズとさりげなく登場人物が共通していたりするんだね。

特に屈指の人気キャラクター「氷室恭子」の初登場作品でもある。

 

氷室恭子は当時の推定実年齢26歳なのに高3の18歳として違和感なく潜入できる、若作り&童顔の合法ロリ(?)かつ敏腕エージェント。

あくまでもサブキャラなので活躍シーンは限られるけれど、氷室萌えの人たちにとっては、それだけでプレイする価値がある。

 

DESIRE ~背徳の螺旋~

不朽の名作である「DESIRE」。初代はPC-98、その後SS、Win、PS2、Vitaなどに移植されているね。

 

絶海の孤島に構築された巨大な研究施設。研究内容の全貌は謎に包まれている。

そこへの取材を許可された若き記者アルバート(通称アル)、そしてその恋人でもあり研究員でもあるマコト、この二人の視点で物語は進んでいく。。

 

さて、そもそもこの作品が生まれた背景としては、前作の「悦楽~」の開発環境のシビアさがあったと言われているね。

当時はごく短い期間で作品を完成させた菅野氏だったんだけど、実は作品自体の評価は決して好意的なものじゃなかった。

 

ということで「そんなん言うんだったら全部自分でやってやるお!」と奮起して、

企画・シナリオ・プログラミング諸々、担当は全部俺(キリッ、で作られたのがこの「DESIRE」なわけ。

 

んでんで、この作品の肝としてはサブタイトルの「らせん」からも予想がつく通り、いわゆる「ループもの」であるということ。

私はこういう物語が大好物ですw

近年で言えば、ファントムや沙耶の唄で人気を博したニトロプラスの虚淵玄氏が書いた「まどかマギカ」でも多くのファンが熱狂したテーマだよね。

 

そしてその物語を前述の「アル」と「マコト」の視点を切り替えて進めていく「マルチサイトシステム」が好評を博した。

これは後の「EVE」シリーズにも受け継がれているね。

 

まぁただし問題なのは、女性キャラの「マコト」サイト。

もうね、はっきり言えばただのエロ担当ですよ。寝取られですよ、NTRですよ。

これも当時のエロゲー業界の悪いところよね、とりあえずエロ描写入れとこう的な。

 

事件の真相に向かうには「マコト」はほぼ必要ないレベル。

さらに後の小説版ではその出番がばっさりカットされていて、唯一の売り(?)のエロ担当からも外される始末。

ただしここでの反省が、後のEVEにて「真のマルチサイト」を作ることに繋がるわけよ。

 

さて、そんなこんなでアル、マコト、それぞれのシナリオをクリアしてもいまいち物語の全貌がつかめないんだけど、

実はその後に隠しシナリオであり第三の視点でもある「マルチナ篇」が開放される。

 

マルチナは研究所の総監督で、シナリオ自体は特に選択肢があるわけでもなく、淡々と物語が進んでいくわけだけど、

 

いよいよその終盤、珠玉の名場面「あなたのティーナなのよー!」発動、、、

。。なん、、だ、と!?

 

ハイ、涙腺の堤防という堤防が全て決壊します。

 

これは何の事前情報も無くシナリオを当時プレイしていた人全てにとって、

完全なるミスリードが明るみに出る瞬間でもあり、大どんでん返しであり、そして大きな感動を呼ぶわけよ。

 

そしていわゆる救われないバッドエンドの影響で、しばらく立ち直れないレベルw

まぁ今では決して珍しいオチでもないんだけどね、当時としては感動的な名作だったわけよ。

 

だが、しかし。。

時は流れ、「完全版」と称して新エンディングを追加し、名作の顔に泥を塗った輩がいるわけよ。

当然プレイしたわけだけどね、まぁしょーもないハッピーエンドですよ、蛇足ですよ、あんなもん。

 

どうしてあの根本の「らせん」というテーマから、そんな安易に取ってつけたようなオチが導き出せるのかと。

メーカーも作者も違うけれど、せめて「久遠の絆 再臨詔」くらいの「戦いはこれからだ!」的なふわっとしたトゥルーエンディングを見習ってほしいもんですよ。

 

まぁアルとティーナの明確なハッピーエンドが見たかった人にはいいんじゃないですか。あれが公式だとは永久に認めないけどね。

だがしかし、作画担当の田島直氏の美麗なキャラデザによって、リメイク版もなんとか許されているレベル。

 

XENON ~夢幻の肢体~

過去から現在、そして未来を行き来する、菅野氏が好きそうなw SFチックな作品。

各エンディング名が「Dream〇」、そしてサブタイトルからも連想されるように、「夢」がひとつのポイントになっている。ただし当然のようにアダルトゲーム。

 

、、っていうかごめんw ぜんっぜん思い入れがないんだよねw

一応システム的にはマルチエンディングなんだけど、うーんなんていうか同時期の「DESIRE」に比べちゃうと全然魅力を感じないというか、DESIREが凄すぎたっていうか。

 

決して駄作ではないんだけれど、いわゆる剣乃三部作に比べると見劣りしてしまう感は否めない。

発売はPC-98、Win版のみで、その他のハードへ移植がされていないのも残念ポイント。

 

時期的にはADVといえばチュンソフトの「弟切草」や、作家の我孫子武丸氏を起用した「かまいたちの夜」の方に注目が集まっちゃったからかもしれないね。

 

まぁシナリオの斬新さは別としても、このXENONの音楽は若くして亡くなった梅本竜氏が担当していて、その意味では貴重な作品であることは間違いない。

 

「EVE」シリーズ

はい、ついにやってまいりました人気シリーズ「EVE」の原点でもあり、至高の最高傑作「バーストエラー」を語る日が!

その後のシリーズ展開だけでなく、リメイクも繰り返され、色んなハードでプレイすることができる。

 

私立探偵の天城小次郎(100「気圧」防水(ホントに実在するのか?w)のタグホイヤー愛用)と、

内閣調査室エージェントの法条まりな(ベレッタM1919、通称「イクイク」wを駆使)、

この二人の視点で猟奇殺人事件の真相とエルディア共和国に隠された陰謀を解き明かしていく。

 

基本システムはコマンド総当たりのマルチサイト。きちんと両者の視点が絡み合っていて、DESIREでの反省が生かされる形に。

 

しかしまぁ今作ヒロインでもあるプリンとか、DESIREのティーナ、YU-NOのユーノ、とりあえず菅野氏は金髪の異国っぽい少女が好きだったんだねw

 

生粋の剣乃ファンからすれば、唯一菅野氏が関わったこのバーストエラーさえ知っときゃいいわけですよ。

まぁ私は当然のように後のシリーズや設定資料集、ノベライズも集めまくってストーリー的には制覇したけどね。(徒労)

 

バーストエラーでオススメはやっぱり無印のSS版かあるいはWin版ね、まぁちょっと洗練されたキャラデザが好きならPS2版の「Plus」もアリかな。

 

後のリメイクのVita、Win、Switchなどの「R」(または「A」)は権利関係を頑張ったで賞と、田島直氏が復活ってことでプラスポイント。もちろん当時と全然雰囲気は違うが。

 

ただし、PSPの「1st」、お前だけは絶対に認めない。

 

ということでまず初めにEVEシリーズの全体像をストーリーの時系列でまとめておこうか。

  • (悦楽の学園)
  • EVE ZERO
  • EVE burst error
  • (EVE rebirth terror)
  • EVE The Lost One
  • EVE The Fatal Attraction (ADAM THE DOUBLE FACTOR)
  • EVE new generation

このうち悦楽の学園は直接的にストーリーには関係ない前日譚。

時系列的に4作目となるリバーステラーはニュージェネレーションから13年ぶりとなる完全新作。

 

そして先述の通り、菅野氏がシナリオに携わっているのはバーストエラーのみで、それ以外はそれぞれ全て別の作家さんによる物語。

 

てなわけで次項からはストーリーの時系列ではなく、発売日順で紹介していこうと思う。

 

EVE burst error (イヴ バーストエラー)

小次郎とまりなによるマルチサイトでそれぞれの事件の謎を追っていく。

全く別の話だったものがいつの間にか1つのところで結び付くっていう作りのお話。

片方のシナリオだけを進めていると必ず壁にぶち当たるので、そういった場合にはサイトを切り替えて攻略していく。

 

まぁ基本的なジャンルとしては、探偵モノ・推理モノって感じで、オチとしては感動モノってことになるのかな。

とはいえそれぞれのキャラクター性が際立っているので、決して「これは〇〇の話だ!」という評価は出来ない。

 

中でもなんといっても人気なのは男性側の主人公である天城小次郎。性格のイメージとしてはシティーハンターの冴羽獠が伝わりやすいかな。

ただし小次郎はあくまで小次郎であって、決して他にはない魅力的なキャラクターの一人だね。(たぶん声を担当した子安武人氏の雰囲気の影響もあるんだがw)

 

さてこのゲームにおけるマルチサイトの真骨頂が発揮されるのは、物語もクライマックスに近づいてきたころに起こるいわゆる「ダブルハッキング」の場面。

全国1億三千万人の氷室ファンにとっては、最高の活躍の場w

 

ああ、菅野氏はマルチサイトでこの描写をやりたかったんだな、くらいに思うレベル。両者の視点がなければ絶対に解けない白熱の名場面。

まぁこれをサターン版でプレイしてると「ディスクの入れ替え作業」ですごい大変なんだけどねw

 

そんなこんなで徐々に物語は終わりを迎えていくわけだが、そこで開放されるのはDESIREでもお馴染みの「第三の視点」シナリオ。

ここでは基本的に回想として淡々と真相が語られていく。そしてヒロインの一人「真弥子」の思いを知った時、、

 

涙腺の堤防決壊!w

 

、、というのはちょっとオーバーな表現だけれど、個人的にはDESIREの方が感動的だったかな。でもそれは好みの問題。

やはり報われない悲しいお話なのは事実だし、それでも力強い希望があり、そしてタイトルでもあるバーストエラー=「連続的な誤り」について個々が色々と思いを馳せる。

 

綺麗で儚い、至上の終わり方――

 

そう、だからこそ!!!

あんなにも綺麗に終わっているからこそ、どうしてもEVEファンとしてはその後に作られていく続編たちにどうしても嫌悪感を抱いてしまってるんだよね。

 

とはいえ逆に言えば、原点が至高になってしまったからこそ、

その後のシリーズを担当することになった方々にとっては大きなプレッシャーだったことも事実だろうなとは思う。

 

EVE The Lost One (イヴ ザ ロストワン)

伝説の黒歴史w バーストエラーの3年後が舞台。SS、PS版、そして後にWinに移植。

 

マルチサイトシステムは健在だが主人公たちが入れ替わり、内閣情報調査室の桐野杏子とSNAKE(スネーク)という謎の爆弾魔の二人の視点になった。

そう、「追う者と追われる者」という立場になるわけだ。

 

だが、まずここがロストワンの評価を大きく下げている理由の一つ。

そもそもロストワン時点で菅野氏は退社していたので、ファンとしては最初から大きな期待はしてなかったんだけど、

それでもあの小次郎とまりなのEVE続編なら!という思いだったわけよ。

 

しかし代替わりさせた主人公たちは、あまりにも魅力が無さ過ぎた。まぁこれはむしろ小次郎とまりなのキャラが立ちすぎてたせいとも言える。

 

そしてそれに追い打ちをかけるように、ファンの期待を木っ端みじんに粉砕したストーリーw 爆弾魔だけにw

いや逆に、EVEと冠していたからこそダメだったのかもしれない。先入観ってやつね。

 

。。いや、即時前言撤回。やはりそれ以前の問題か。

っていうかもはや前作の真弥子の、プリシアの、小次郎の、まりなの思いをどうしてくれてんねん!って話。

 

てか別にね、嫌いじゃないわけよ。きっとロストワンがEVEじゃなかったら。そして前作のバーストエラーが無かったら。

 

そもそもシナリオの作家さんはGOSICKでも有名な直木賞作家の桜庭一樹(名義は山田桜丸)氏。

これ以降のEVEシリーズのノベライズであるThe Beginning EVE、亡き王女のための殺人遊戯、サヨナラキョウコ・サヨナラセカイは、

女性ならではの目線もあって、純粋に読み物として非常に楽しめた。

 

なのに、どうしてこうなったロストワン。。

基本的にシリーズ上は無かったことにしても特に不都合は無いので、ファン以外はさらっと通り過ぎておkな作品。

 

EVE The Fatal Attraction (イヴ ザ フェイタルアトラクション)

バーストエラーから4年後が舞台。サブタイトルの頭文字をとってTFAと略されていたりするね。

主人公は前作の反省を生かし(?)、小次郎とまりなに戻った。

 

えーとまずTFA発売の経緯自体が微妙に複雑なんだけど、

そもそもこれは「ADAM THE DOUBLE FACTOR (アダム ザ ダブルファクター)」って名前のパソコンのアダルトゲームだったんだよね。

 

どうやらメーカー的には話の中途半端さからも推察されるように、ADAMシリーズとして展開しようとしていた感じがあるんだけど、結局ダメになったっぽくて未完に。

というわけで後日ADAMのシナリオを加筆修正する形でEVE新シリーズとして、PS版、Win版のTFAが発売されたわけよ。

 

厳密にはADAMとTFAの間にZEROの発売が入ってるんで、TFAのシナリオにはその「ZEROっぽさ」が微妙に反映されている感じ。氷室恭子の肉親でもある氷室冴子とかね(ただし明言はされていない)。

 

んで評価的には、私はあんま好きじゃない。ただし「EVEとしては」ね。

結局のところ恒例のEVEやエルディア絡みの事件なわけだけど、主人公の性格の変化に違和感がすごい。

 

特にまりな。いや、決してシナリオとして無理があるとは思わないよ。

でもTFAのまりなを受け入れるってことは、それはバーストエラーでの真弥子や源三郎に対する思いがすげーウソっぽく薄っぺらく感じちゃうわけよ。

 

バーストエラーという存在がなければ、人間ってそういうものだよね、時が過ぎるってそういうことだよね、っていう理解が出来る。

まぁこの辺は好みの問題ってことになってくるのかなぁ。ただEVEシリーズの中では出来としてはまずまずの方。ただしすっきりと完全決着のオチではないので注意。

 

EVE ZERO (イヴ ゼロ)

バーストエラーの2年「前」が舞台。そう、悦楽を除けば唯一の過去篇。

まぁ長く続くシリーズものでは、前日譚というか過去話を新作として出すってのはわりと定番の手法だよねw

 

主人公は同じく小次郎とまりな。PS版、Win版、DC版がある。

小次郎は家出人探し、まりなは猟奇殺人捜査、一見何の関係もなさそうな事件が徐々に絡み合っていく、という原点に戻るような展開。

 

とはいえ、、ストーリーの都合上大きなマイナス点があって、それは小次郎とまりなが直接出会わないこと。

バーストエラー時が初対面ってことになってるので、それ以前のこのゼロにて会ってしまったらもちろん矛盾になるわけだが、

でもだったらそれってマルチサイトシステムじゃなくてよくね?っていうツッコミになるわけよ。

 

しかもさらに矛盾を生じさせないための、シナリオ上の大いなる不都合がある。

それはバーストエラーに登場しないキャラクターはことごとく「いなくなっていく」ってことw

 

いや、若干表現をオブラートに包んだけど、正確にはどんどん死んでいくわけよ。

たぶん読みが鋭い人でなくても、登場時点で「あ、このキャラだめだわ」ってわかるレベルw

 

まぁしかしこれって要はバーストエラーがあるがゆえの弊害なんだよねぇ。

結局のところTFAに関しても言えるけど、このZEROだってEVEじゃなかったら全然許されてると思うのよ。バーストエラーに繋げるためになんとか着地はさせてるし。

 

しかし商業的な人気としてはバーストエラー以降はそのどれもが芳しくなくって、

ZEROの後は約5年もの間、EVEファンとEVEシリーズは休眠を余儀なくされることになる。。

 

EVE new generation (イヴ ニュージェネレーション)

やってきました、ついに2006年!ニュージェネレーションがPS2にて発売!

バーストエラーから「数年後」、っていうぼやっとした世界観が舞台w

 

私としては、個人的にEVE続編としては一番このニュージェネが好きなんだよね。

まぁこれは好みの分かれるところで、良くも悪くも「EVEっぽさ」が無い。

 

結局のところ、サブタイトルから分かるように明らかに「リブート」を狙った作品。

前評判としては、シナリオ担当に名作メモリーズオフや大どんでん返しで有名なEver17を手掛けた打越鋼太郎氏を迎えたことで、その期待度は高かった。

 

それだけに、主人公の微妙な性格の変化などは、生粋のEVEファンとしてはちょっと許せない部分もあったんだよね。

でも少なくとも打越版の小次郎は、菅野版に比べて「ヒーローっぽさ」があって、これはこれでまた新しい魅力なのかな、と好意的に解釈している。

 

ただ、シナリオに問題が無いわけじゃなくて、、

トリックに結構無理があったり、クライマックスへ向かうオチがもうEVEとは別ゲー。

悪い意味で全然現実感がない。まぁバーストエラーが科学的で現実的かって言ったらそれは大いに疑問なんだけどねw

 

(双子の幼児期における鏡像現象の理論あたりから雲行きが怪しくなるw

ただし真相へ向かうために種明かしが畳みかけられるEVE的(菅野的)展開は秀逸だけどね)

 

しかし最もドイヒーだと思ったのは、わりと推理のポイントだったはずの弥生の証言。

実はトリックでもなんでもなく、まさかのウソとは、、弥生はそんなことしないんじゃないですかねぇ、、

 

さらに全国1億三千万人の氷室ファンにとって残念だったのは、氷室恭子の出番が「ほぼ皆無」ということ。。

このときの多くの失望の声に応えるかのように、後述の「X」版にて通称「氷室ディスク」が作られる。

 

まぁ細かい部分に目をつぶれば、比較的楽しめた作品。別ストーリーだけど、藤真拓哉氏の手掛けたコミックスもわりとオススメできる。

 

さてさて、このニュージェネで特筆すべきは先述の「氷室ディスク」の存在。

実は後日、アダルト要素を付加した「new generation X」がPCで発売されたわけだけど、

その際に特典としてついてきたのが「氷室恭子ファンのためだけ」のオマケシナリオディスク。

 

このためだけにXを買ったファンも多いだろうw

さて肝心の内容としては、、バスルームで小次郎とひたすら「イチャコラ」する話、、

まぁいい意味で期待を裏切ってはいないわな。

しかし声は藤森ゆき奈さんではなく、本来の松井菜桜子さんで聞きたかったり?w

 

いずれにしろ、もちろんニュージェネもXも正統なEVEではないけどな!

でもねぇ、こればっかりはもうしょうがないのかなぁって、この頃はファン側も徐々に諦め始める年齢になっていったわけよw

 

EVE rebirth terror (イヴ リバーステラー)

2011年、菅野氏の逝去により正統続編への夢は露と消えた。。

しかしニュージェネから13年後の2019年4月25日、ついに完全続編であるリバーステラーがPS4とVitaで発売する!

 

バーストエラーから1年後が舞台。つまり時系列的にはもっとも直後のお話ってことになる。

当然のように、主人公は小次郎とまりな。ちなみにロストワンでは苦汁をなめた(?)桐野杏子も登場するらしい。

しかも!公式サイトのビジュアルでは氷室恭子もきちんと存在感出してる感じ!氷室さま萌えーーー!!

 

声優さんはそれぞれ子安武人さん、三石琴乃さん、松井菜桜子さんで雰囲気そのまま。

(まぁ完全な元祖まりな役は岩男潤子さんだけどね)

ただし、残念ながら弥生役に関しては、本多知恵子さんが若くして亡くなられたために変更になっている。

 

シナリオ担当はさかき傘氏。菅野氏のゲームから多大なる影響を受けたことを公言しているクリエイターの一人だ。

 

こ、、これは久しぶりに期待できるんじゃなかろうか!

。。いやいや、我らEVEファンは何度も何度も裏切られてきているw

もうね、ちょっとやそっとのことでは騒ぎませんよ。っていうか逆に生暖かい目線で応援してる感じ。

 

でもなんだかんだプレイする日が楽しみだね!

というわけでここでEVEシリーズの総括。やっぱりバーストエラーが一番w

 

この世の果てで恋を唄う少女YU-NO

記事開始から1万字以上、、長い旅路の末、ついに掲題のユーノにたどり着いたよ、、

そう、まさに「有馬たくや」がいくつもの並行世界を渡り歩いたように、ね。

 

ハイ、というわけで早速「YU-NO」についてw

とりあえず不朽の名作です、アドベンチャーゲームの金字塔です、いつまでも色褪せることのない私の青春です、

といった感じで賛辞の言葉を挙げるならキリがないレベル。

そのくらい当時としても画期的かつ斬新だったし、そしてその魅力は現代でも通じうる。

 

物語としては近年のシュタインズゲート的ないわゆる「タイムリープもの」かつ学園モノ。

まぁネタ的には決して珍しくない古典的なSFチックな話なんだけど、そこに物理学、宗教、哲学、歴史など様々なエッセンスを加えて、

さらにタブーである近親相姦やカニバリズム、倫理や自己犠牲などのテーマを掲げて重厚かつ独特な世界観に仕上がっているわけよ。

 

PC-98、SS、Winで発売された後に、最近では2017年のPS4やVita、2019年3月のニンテンドーSwitchなどリメイク版もある。

ただぶっちゃけリメイク版はもはやキャラデザから言って完全に雰囲気が別ゲーなので注意が必要。

(※原作の朝倉香織のヘンテコな格好(過激な露出度w)に関しては、あり得なすぎるから修正ナイスだけどねw)

 

しかしまぁ、リメイクではPC-98の限界だった16色での色表現へのリスペクトなんて微塵も感じねぇ、、

当時はエルフの下級生が代表的だけど、限られた16色でいかに美麗なグラフィックに仕上げるかってのはクリエイターにとって腕の見せ所だったはず。

サターンに移植されるときだって、その16色を元に原画からCGを作り直したわけよ。

それがあの有様、、ハイハイどうせ懐古厨ですよ。

 

まぁキャラクターの容姿に関しては、時代と共に大衆の好みは変化するもんだからしょうがないかもしれないけれど、

最も解せないのは主人公である「有馬たくや」の顔が見えていること!

お前、、誰やねん!?っていう。。

 

まぁそもそも初代発売当時、エルフなどのいわゆるエロゲー界隈では主人公の顔は見せない、っていうか厚い前髪とかで表情を隠すってのが当たり前だったんだね。

それはプレイヤー側の感情移入を促す手段の一つでもあった。

 

それがリメイク版でこうまでドドーンと顔が見えちゃうと、もうそれは単なる一キャラの「たくや」であって、決してプレイヤーたる自分ではなくなっちゃうわけよ。

流行の移り変わりによって仕方のない部分なのかもしれないけど、もうねこれはYU-NOという物語に対して傍観者的にならざるを得ない。

 

てかさぁ、先に触れたシュタゲって言えば、志倉千代丸氏が率いるMAGES./5pb.が2019年4月からのYU-NOのアニメ化を担当するわけだけど、

もうね、心配でしかないわけよ。っていうかただでさえリメイクによってイメージを汚されている以上、物語の雰囲気をどこまで再現できるのかっていうね。

 

キャラデザも声優さんも、まるで違う。もうYU-NOと名前はついていても、あの頃のYU-NOではない。

てか幽遊白書の飛影こと、勇者王こと檜山修之氏はどうした?

 

ちなみに檜山氏は当時ガオガイガーで忙しく叫びまくってたために、

YU-NOの劇中ではかなり声質やボリューム感にムラがあるんだよねw これも元祖ならではの特徴であったりする。

まぁこれは全体のストーリーを通しての収録ではなく、場面を切り貼りして音源を使っていたから余計に違和感がするんだけどw

 

てなわけで余計な話はこれくらいにして、、いい加減本編の紹介に移ろうかね。

 

プロローグとしては、考古学者である父を亡くしてそれなりにショックを受けている高校生の主人公「有馬たくや」。しばらくするとそんな彼の元に謎の装置と父からの手紙が届く。

父の手紙の指示に従って地元のいわくつきの場所を訪れると、そこには見たことも無い全裸の女性が倒れていた。

ここで突然の敵の襲来、うなる地響き、薄れる意識、そして明らかになる謎の装置の真の力。

たくやの並行世界への長い長い旅が始まっていく――って感じ?

 

「時は可逆、歴史は不可逆」。この原則に従ってたくやは装置「リフレクターデバイス」と共にシナリオを進めていくわけよ。

んで、その時間旅行を可視化するのが「Auto Diverge Mapping System (オート分岐マッピングシステム)」、通称「A.D.M.S (アダムス)」ってやつ。

 

ごく単純に言えばザッピングとセーブポイントのことなんだけど、それを矛盾なく自然に物語に溶け込ませたところが非常に斬新だった。

これこそがYU-NOが当時絶賛された理由でもあり、大きな魅力のひとつでもあるんだ。

 

通常は第三者的に物語を俯瞰して見ることが出来るのはプレイヤー側の「神の視点」のみ。

ところがそこにアダムスとリフレクターデバイス、そしてパラレルワールドという設定をミックスさせると、プレイヤーと主人公の視点と目的を容易に同化させることができるわけ。

これが菅野氏がYU-NOを「真のロールプレイングへの挑戦」と銘打った理由なんだね。

 

そうして幾多のバッドエンドをかいくぐり(物語の全容究明、そして100%コンプリートのためには必須)、

そしておそらく多くのプレイヤーが最初に救済することになるのは、義母である亜由美さん(CVは永遠の17歳w井上喜久子さん)なわけだが、ここがまず大きな感動ポイント。

 

無かったはずの過去を覆し、あったはずの未来を手に入れる。

このプロセスに達成感と喜びを感じたとき、それはプレイヤーと主人公たくやの融合を意味するわけよ。

 

ただし注意しなきゃいけないのは、「時は可逆、歴史は不可逆」という概念。このためにパラドックスは起き得ない。

救われたのはこの世界線、時間軸においてだけなんだね。これはシュタゲなんかと共通する考え方。

 

さて、途中で唐突で理不尽なピクロス(イラストロジック)などパズルを解きつつも、

YU-NOではアダムスを使った各ヒロインとの現代篇での旅が終わると、舞台は異世界篇の「デラ・グラント」へと移る。

ここで物語が佳境に入り、かつ全貌が少しずつ見えてくるわけだが、現代篇以上にどんどん重い話を経験(体験)することになる。

 

ああ、セーレス、クンクン、アマンダ、ユーノ……

 

しかしそれをそう悲観的に感じさせないのは、異世界でのゲームシステムがアダムスではなく昔ながらのコマンド総当たりになっているからかな。

これはプレイヤーの目線が「たくや」ではなく、単純な傍観者に戻るってことなんだね。

 

まぁこれは意図されたことじゃなく、開発期間の短さゆえと言われていて、菅野氏本人でさえも後悔していたのは有名な話だけど、

それでもゲーム全体としてユーザーの評価が高かったのだからすごいとしか言いようがない。

 

そもそも、YU-NOの世界をきちんと解き明かすには、因果律の概念と「事象科学」っていう架空の科学を理解しなきゃいけない。これがまた独特の世界観の魅力でもある。

 

ざっくり言えば、物事には因果、つまり必ず原因系と結果系がある。そして結果系は次の(下層にとっての)原因系になっていく。

これがどんどん枝葉のように分かれていって、事象=歴史が作られていく。そしてそれを概念的にツリー構造としてあらわしたのが「ブリンダ―の木」と呼ばれるもの。

 

このブリンダ―の木の根元はいわゆる「神の領域」に等しい。

あらゆる事象の根源、つまり宇宙の始まりを意味するわけだけど、そこには全てがあるとも言われているし、何も無いともいわれている。

そしてそこでは神羅万象のあらゆる疑問が氷解するともいわれている、未だ誰も見たことのない場所。

 

、、という「分からないことが分かった」という講義を、終盤になって絵里子先生から受けることになるわけだが、

このクライマックスに向かうにつれて怒涛のように伏線が回収されていく様は、まさに菅野節というかバーストエラーを彷彿とさせる作り。

 

ちなみにYU-NOにおけるキーパーソンは、この絵里子先生と龍蔵寺学長。

それぞれ声優さんは大物の久川綾さんと大塚明夫氏。もうね、お二人とも貫禄しかありません。

 

しかし次元監査官の名前「エィッリィククワッドゥロッウ」の発音は、大塚さんの方がそれっぽくて上手かったなw

このエィッリィク~の恋人はアーベル(なぜ普通の発音の名前?w)なので、菅野氏が後に独立して興した会社の名前ってもしかしてここに由来するのかなぁ?と思ったりする。

 

まぁなんやかんやありまして、物語はエンディングに到達してエピローグになるわけだけど、

ファンの間で長年の論争になったのが、たくやとユーノが最後にたどり着いた場所に生えている木の芽の名前について。

 

これはセーレス説を言う人もわりと多いんだけど、

どう考えても「名前わかる?」(You Know ?)のフリから、「分かるさ」の流れで、「I know」つまり「アイノ」しかありえんと思ってるんだけど、どうだろう?私だけ?w

まぁあれは正解はそれぞれ考えてね、っていう終わりなんだろうけどさ。

 

んでだ、普通に取りこぼしなく物語を進めていれば、自然と100%回収で「YU-NOパーフェクトマスター」になれるわけよ。

そこでシュバルツシルト半径の運命に囚われた美月さん(CV佐久間レイさん)が無事いるのは地味に嬉しいポイントだったよね。あとはアマンダもね。

 

ていうかヒロインとしては、私はどう考えたってユーノよりも正統派ツンデレである澪派なんだけどね。

(※主観です。ちなみに時間経過と関係性向上を伴った性格変化が正統派ツンデレです)

 

しかしリメイク版の澪のあのビジュアルは絶対許せん。魅力半減どころか虚数空間に葬られてるレベル。てかCVがくぎゅは無いんでないかw

神奈ちゃんはなぁ、うーん容姿は置いておいて、境遇的に微妙に救われてるような救われてないような。。ちょっとハッピーエンドと言うには難しいところ。メリーバッドとも言える。

亜由美さん派は、まぁいいんじゃないですかね、そういう性癖の方にとってはw

 

、、ってなんかゲーム紹介ってよりも、ただの思い出話で終わりそうだなw

 

まぁこのように語りだしたらキリがないんだけども、

YU-NOはゲーム以外にもピンクパイナップルからOVAが出てるんだが、よくここまで変えたなってぐらい別展開なので注意。

ちなみに小説版も全4巻で出てるんだけど、これは軽く数十時間を超えるゲームのプレイ内容をよくコンパクトにまとめてあって秀逸な出来。

 

あと語っとかなきゃいけないのは「この世の果てで恋を唄う少女」ってタイトルについて。

まぁこれはエンディングに到達すると何となく意味は通ってくるけど、むしろ考察的価値はそれほどないと思っていて、単なる語呂の良さだよね。

 

響き的にエヴァンゲリオンのTV最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」な感じでパクリ感あるが、

エヴァは96年3月、YU-NOは96年12月だから実は微妙に先越されちゃってんだよねぇ。。

まぁ「世界の中心で、愛を叫ぶ」なんかより全然前だし、そのどれもが結局元ネタは70年代の小説タイトルだろうから無問題!

 

最後にゲーム中の名言でも、、

「自信はあるが、確信は持てない」
「想像は自由だが、それを真実と勘違いするな」
「理解はするが、納得は出来ない」
「事実となっているが、真実とは限らない」

 

至高の名(?)場面は「派手過ぎず、かつほのかな色香が漂ってくる」のところかな!澪マンセー!!

 

エクソダスギルティー

さてYU-NOの発表で名実ともにトップゲームクリエイターの一人となった菅野氏は、満を持してエルフから独立し、アーベルを設立する。

この出来事は当時のゲーム雑誌でも取り上げられるくらいだったので、それくらい菅野氏の次回作に寄せる市場の期待は大きかったんだね。

 

そのアーベルで最初に作られたのが、この「エクソダスギルティ―」だ。

100万人が泣いた!的な大衆映画CMによくありがちなキャッチコピーが付いているわけなんだが。

 

結論から言おう、私はまったく泣けん。

いや、これはバーストエラー以降にも思ったことだけど、やっぱりYU-NOの衝撃がすごすぎて、どうもこの作品は霞んで見えてしまうんだよね。

いい意味で普通。良作ではあると思うんだけど、後半にかけての疾走感はあまりない。

 

ストーリー的には、同じ場所の過去、現代、未来におけるそれぞれの主人公たちの視点で物語を追っていく。

おそらく剣乃三部作の上手いところだけをバランスよく組み上げて一作に仕上げようとした感がある。

古代とか、遺跡とか、そしてキャラデザが田島直氏でもあるために、どことなーくYU-NO的な既視感があるわけよ。

 

それでもゲームプレイに興味がある人は、断然DC移植版の「ネオス」をお勧めする。

実は初代のPS版はキャラボイスが無いっていう致命的な部分があって、それが淡々と読み進められちゃう一因でもあった。

その点ネオスなら緑川光氏や堀江由衣さんなどそうそうたる声優陣によってドラマチックに仕上がってるんだね。

ちなみにアダルト要素が好きな方は、Winの「オルタナティブ」をどうぞw

 

世界観的だけさらっと抑えておきたいって人は、設定資料集とかノベライズ本を流し読みするだけで十分じゃないかなぁ。

 

不確定世界の探偵紳士

エクソダスギルティ―の成功(?)の次に菅野氏率いるアーベルが世に送り出したのが、この「探偵紳士」シリーズ。

 

私にとっては元祖であるWinの不確定世界~よりも、後のDCリメイク「探偵紳士 DASH」の方が印象が良かったという意味で稀有な作品。

まぁそもそも初代Winは18禁要素こそ全開だけど、ボイスすらないからね。

(ボイスもエロも楽しみたい方は、逆移植的なHardcore版をどうぞ)

 

その点DCでは子安武人氏、井上喜久子さん、桑島法子さん、勝生真沙子さん、大塚明夫氏、佐久間レイさん、氷上恭子さん、といった豪華メンバーでお送りしておりますw

ちなみに私はクラッシャーディビジョンこと公安4課の伏姫(ふせひめ。CV勝生さん)が大好きです!伏姫ーワイやー、結婚してくれー!w

 

とはいえリメイクのRebirth以降(事件ファイル、Origin含め)のキャラデザ全般は違和感MAXだから認めないけどな。

ミントの黒髪はどこ行ったんだよ。というかキャラの雰囲気が全体的に続編のミステリートに寄せすぎなんだよ。

主人公こと悪行双麻(あぎょうそうま)の渋さだって全く感じない、というかヒョロいし若過ぎ。どうしてああなった。

 

さてと、文句はこれくらいにして、、

 

物語の設定的にはタイトルの通り、EVEに原点回帰したいわゆる探偵モノ・推理モノ。

だがEVEの世界観とは異なり、若干ハードボイルド路線に寄せて、かつ明確に続編を意識した作りになっているね。

途中で結構オカルティックかつSFチックな描写もあって、決して現実感あふれる探偵推理ジャンル一辺倒ではないんだけど、

個人的には剣乃三部作に勝るとも劣らないシナリオ面での面白さがあると思ってる。

 

しかし基本システムは古き良きコマンド総当たり。

さらに事件を同時並行的に扱っていくことになるため、攻略チャート的なものを見ずに1回で真相を暴くことは不可能に近い。

ゆえに周回プレイが必須になっているわけ。しかも事件解決で得られる報酬も重要な要素なので、あまり適当にプレイしていると最悪ゲームオーバーにw

 

まぁこれが効率的にコマンド選択をしていくだけの作業ゲー的な感想を生むんだけど、

この点についてはRebirth以降でミステリートのシステムを逆輸入することで若干改善されているね。

 

なんだかんだありつつも、このゲームの最大の魅力は主人公である悪行双麻のカッコよさ。

悪行は、ただ歩いているだけで事件が寄ってきて銃撃戦にさえ巻き込まれるほど悪運が強い(と自称する)、国際探偵組織アイドラーの最上位Aクラスの凄腕探偵。

このクラスAは世界でも30人前後で、日本では二人しかいない。

(ちなみにミステリートではさらに上のAAクラスの私立探偵が登場している)

 

この悪行とヒロイン達との会話がとにかくオシャレなんだよ。

セリフ回しや言葉遊び一つとっても、非常に大人な雰囲気を醸し出している。ミステリー好きの菅野氏の真骨頂が発揮されている感じだね。

 

中でもオススメなのは序盤の綾木麻衣子との長台詞の掛け合い。

心理トリックかつ推理小説を読んでいるようなテキストに、思わず全文暗記して悪行になりきってアフレコしたもんですよw

あとは、やっぱりミステリアスな美女・村雨涼子とのやり取りかな。

微妙な大人の駆け引きが絶妙だし、エンディングを迎えた後に読み返すとまた違った印象が出てくる。

 

なお、この涼子に関しては、DASHで大幅にキャラデザが変わった一人。でも私的にはそれほど違和感なく受け入れられたんだよね。

初代の方だと若干大人すぎるっていうか、イレギュラーな存在感もあいまって、世界観から突出しすぎているというか。

 

あわせてDASHで一部賛否が分かれたのが、悪行の素顔。

クライマックス付近で神あやめとのやり取り中、トレードマークの帽子と長い前髪に隠れていた表情が明るみになるCGが追加されているんだね。これはまぁ個人的にはあの場面だからこそ許される、って思ってる。

 

さて、そんなこんなで日常の事件を解きつつも、最終的には大きな陰謀に立ち向かっていくわけだけど、

やはり衝撃的なのはラストのオチ。結構賛否両論があったみたいだけど、悪行の物語をハードボイルドと位置付けるのなら、あれはあれで良かったんだろうなと思うよ。

最後までそのカッコよさを貫き通して、微塵も忘れることが無かったからね。

 

なお、YU-NOでも100%達成でオマケがあったように、この探偵紳士でもコンプリート後のオマケ要素がある。

その名も「奥義モード」!なんだかすごそうだけど、DASHでは単に登場人物の衣装がコスプレに代わってるだけ。日常や真面目な場面での違和感がすさまじいです、ハイw

Win版ではコスプレではなく、女性キャラが終始全裸になっているわけで、もうそれただの変態です。。

 

さて全体として見て、やはり前作のエクソダスギルティ―が微妙だっただけに、この探偵紳士で「やっぱ菅野氏、やれば出来るやん!」と俄然盛り返した印象がある。

そして今後のこのシリーズに期待を寄せるファンは多かったわけさ。そういった意味で文句なくオススメできる一作。

 

ミステリート 〜不可逆世界の探偵紳士〜

前作から4年後に発売された探偵紳士の続編。

不確定~から不可逆~というタイトルになっていることからも分かる通り、世界観が共通しているわけだけど、特に深い意味はないw

 

ていうかまずこれ、発売までの経緯が二転三転していてね。

そもそもDASHの続編的な位置付けで、DC版が2000年に発売される予定だったのよ。だからキャラデザもDASHに寄せた感じの当時の一般向け。

さらに前作主人公の悪行を思わせるCGも公開されていたので、そりゃ菅野ファンたるもの、速攻で予約しましたよ、ええ。

 

だけどね、まぁほら世間的にはドリームキャスト自体が完全に落ち目に入っている時期で、結局発売未定からの中止になったわけ。

そのあと、延期に次ぐ延期で、ようやく発表されたのが04年のWin版だったんだよ。

この後、ボイス追加やシステム修正を施したものがPS2やPSPに移植されている。

先述したけど、この空白の4年間が結果的に、菅野氏およびアーベルにとって決定的に勢いを削ぐ形になったと思ってる。

 

さて、今作の主人公となるのは悪行から変わって、八十神かおる。

アイドラーのクラスAに史上最年少で昇格した天才。中性的な見た目で変装も女装もお手のもの。

、、が、とにかくその貫禄がない。いや設定上18歳だからそりゃそうなんだけど、前作と舞台こそ共通だけどもはや別ゲー。声優さんが緒方恵美さんなのがせめてもの救い。

 

シナリオ的には推理というかむしろパズル的。悪い意味でコナン的な感じ。

ストーリーのきっかけとしては、八十神が失踪扱いになっている悪行の行方を追うことになるわけだけども、悪行はシナリオに関わらないどころかほぼ出てこないしw っていうか物語自体も「続く……」で終わるし。。

 

そもそも論で言えば、悪行が普通に出てきちゃったら来ちゃったで、前作ラストから考えれば非常におかしい。

あの状況からどうやって?アウトフィットとクラッシャーディビジョンを相手にして。

っていうか、確かに神あやめのラストに関してもご都合主義的な場面があったけど、なに?涼子の奇跡の力?

だとしたら悪行の「タバコを吸うのは死ぬ前と決めている」っていうあのポリシーの意味は?

ハードボイルド的な観点から言えば、ものすごーくカッコ悪いことになるわけよ。

 

ま、とはいえだ。確かに辻褄が若干おかしいんだけど、悪行が登場すること自体が嬉しいっていう感情は私含めファンたちにはあったわけよ。

でもそれでも、やっぱり古き良き菅野氏らしさはこのゲームにはない。明らかに大衆向きだし、推理小説というよりは悪い意味で推理マンガ。

まぁ商業的にはそれも方向性的には仕方なかったのかなーとは今なら思うけどね。

 

ダメだしばかりでもなんなので、プラスポイントも言っておこうかね。

前作で声だけの出演だった悪行の後輩・南条深雪(CV根谷美智子さん)がビジュアル付きで登場したこと、エクソダスギルティ―のヒロイン・アルゲリーチが出てくること。うん、このくらいw

 

いや、これは菅野系作品全般に言えるんだけどさ、

たぶん彼はシリーズとか続き物を商業的にはやりたかったんだろうけど、一方でそういった物語が苦手だったとも思うんだよね。

 

一つのゲームで独特の世界観を広げ、そしてそれを綺麗に幕引きする。

その才能に非常に長けていた人だったと思うので、後で続編で弄ろうとしていくとどっかで齟齬というか無理が出てくるわけよ。

だからEVEでの氷室よろしく、旧作のキャラだけが出演する程度のアレンジがベターだったんだろうなと。

 

ま、このミステリートはいまや完全に未完になっているわけだけど、本当はミステリート2も予定されていてね。

プロット段階では悪行と八十神のダブル主人公の予定だったみたいだけど、それも菅野氏の逝去で正統続編は事実上不可能になってしまったわけよ。

一応、ミステリートの後に「十次元立方体サイファー」っていうちょっとしたスピンオフが発売されたけど、まったく本編上は関係ないしね。

 

ただ、2014年にはMAGES./5pb.に版権が移って「ミステリートF」として完結編の発表されたわけよ。

でもこれも初めはXbox、その後PS4、Vitaでの開発が示唆されただけで長らく放置プレイ中。そもそももう菅野氏はいないわけだし、嫌な予感しかしない、、

 

色々言ってきたけど、ミステリートを純粋に単一の作品として楽しむのなら決して悪くはない(どの口が言うw)。ただし、菅野氏作品として見るのなら、それは別っていう話だね。

 

~おわりに~

いよいよ、2万字を超えてしもうた。。

まぁね、完全に菅野ファン以外を置いてきぼりにする内容だったわけだがw

 

私が言いたかったことは、せっかく縁あって魅力的な作品に出会ったのだから、

それが作られた「背景」であったり、初代たる「原典」をきちんと理解しておこうぜ、というお話。

 

例えば、ガンダムでもマクロスでもそうじゃん?私はファースト世代じゃないから良く知らないんだけどw

 

リメイクにはリメイクの良さもある、しかし当然移植前の元祖を辿ることだって決して意味が無いことではないわけさ。その姿勢は復古主義でもないし、懐古厨でもないわけ。

 

両方吟味したうえで、どちらがより自分に合っているのか、

どちらが作品の真の良さが引き出されているのか、そうやって自分なりの答えを見つけてくれればいいかなと。

 

この記事が誰かにとって、菅野作品へ足を踏み入れる道しるべとなってくれたら、無駄に2万1千文字も書いた意味があるってもんよw

 

最後まで読んでくださった奇特な方がいらっしゃいましたら、ありがとうございました。