療法食メーカーの事実上のトップ。ロイヤルカナン。おそらくペットショップの店頭で一番見かけることが多い商品かもしれない。
このうち、猫の腎臓病対策フードとして使用できるものは、現行で8種類のラインナップがある。
ドライフード、ウェットフードが共に4種類ずつ販売されていて、そのどれもが低リン低ナトリウムとなっている。
腎臓サポート・ドライ
まずはノーマルの腎臓サポート。 タンパク質が23.00、リン0.30、ナトリウムが0.40。
慢性腎不全の猫における食事管理上の大きな問題として、食欲不振がある。好みのエサに対する飽きっぽさとも言い換えられるだろう。
これは単なるワガママではなく、症状の進行に従って避けられない特徴的なことではあるが、ロイヤルカナンでは別の食感・風味のフードが用意されている。
それが、セレクションとスペシャル。
セレクションでは、タンパク質24.50、リン0.41、ナトリウム0.45
スペシャルでは、26.00、0.45、0.40となっている。
やはり、いわゆる味の濃さ・風味の良さに従って、タンパク質やリンは若干数値が上がっているが、それでも療法食の基準としては十分満たしている。
腎臓サポート・ウェット
続いてパウチタイプ。基本的に猫は缶詰が好き、というイメージ通り、腎臓病や老化の進行によってウェットフードをより好むようになる傾向にある。
ロイヤルカナンにおけるパウチの療法食では、個々の好みに従ってチキンとフィッシュテイストの2種類が発売されている。
チキン、タンパク質7.80、リン0.09、ナトリウム0.11
フィッシュ、6.60、0.09、0.08
フィッシュテイストの方が若干低タンパク質となっていて、魚を好む日本ネコにとっては良い選択肢となる。
腎臓サポート・リキッド
ここで、ロイヤルカナン独自のリキッドタイプ流動食を紹介しておく。
主に使用する機会は、自ら食事がとれなくなったり、固形物を受け付けなくなった腎不全末期の状態となるだろう。
それであっても出来る限りのエネルギーと栄養素を取るために作られたタイプで、ボトルにはシリンジで吸い上げやすい蓋が付いている。
リキッド、タンパク質7.00、リン0.08、ナトリウム0.08
これはヒトが舐めてみると分かるが、甘めの味が付いていて、ネコの好みによっては自らお皿などで舐めとることもある様子。
早期・腎臓サポート
ネコにとって腎臓病は未だ避けられない問題なので、獣医師の診断によって比較的早期の段階から療法食に移行していくことがしばしばある。
その初期段階に使用されるタイプも発売されている。
こちらはドライフードとウェットパウチの1種類ずつのラインナップがあり、それぞれ、
ドライ、タンパク質28.0、リン0.50、ナトリウム0.40、
ウェット、8.50、0.15、0.09となっている。
これらを各段階によって使用することで、なんとか腎臓病進行を食い止めようという扱いになる。
しかし、これは療法食全般に言えることだが、年齢や腎臓の数値によってフードは選択されるべきなので、安易な自己判断で療法食に切り替えず、まずは獣医師に相談することが大切。
※上記数値は、ロイヤルカナン欧州版サイトより参照。%やgなどの混在を避けるため単位省略。
寄稿者:rai