よつまお

過去ログ倉庫を兼ねたライフログ的な雑記ブログ。記事ジャンルにこだわることなく、不定期更新でゆるゆる運営しています。

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なん、だと?チーズが危険だと?お前はチーズ党の私を怒らせた。

まずはこの記事を見てほしい。


http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160328-00087996-hbolz-soci


私は激怒した。必ず、かのウンチみたいな記事を論破しなければならぬ、と決意した。


もうね、タイトルからしてあまりにもドイヒーな記事なのでスルーしようかとも思ったんだが、私はチーズ全般がかなりの大好物なわけよ。
願わくはチーズの王様・ブルーチーズのゴルゴンゾーラピカンテ様のベッドに包まれてその芳醇な薫りに酔いしれたいくらい好きなわけよ。

 

というかこのネット時代全盛において、よくこんなこと書けるなと。この筆者が食品ジャーナリストを名乗れるなら、私はもういっそのこと食品教授と称していいと思う。(←注:経歴詐称の例)

 

たぶん化学といわず、理科レベルの理解しかなくても、なんだかおかしなこと言ってるな、というのは感覚的に分かってしまう記事内容。

いや、一方で欧米ではワインとチーズが健康に役立ってるんだーとか平気でメディアで取り上げたりもするわけだよ。
しかしこれを真に受けちゃう人もいるんだろうなぁと。それが怖いのよね。

 

えーと兎も角、突っ込みどころが満載の大激流で書き綴られてるんだけども、筆者の巧みなところは決して"根拠ゼロのウソ"は書いていないってところ。
おそらくそれを意図的に狙っていると思うんだけれど、要は程度問題なわけよ。
具体的には摂取許容量とか、動物実験じゃなく、人間においてどのくらいの頻度・割合で悪影響が懸念されるのか、を書かなければ既に政府が許認可している安全性に対しての反証としてはあまりにも弱すぎる。


ではまず乳化剤=界面活性剤、ね。

もうこの等式自体が既にちょっとおかしいんだけれど、なんか界面活性剤自体がダメみたいな風潮がコスメ業界でも横行しているし、化学物質だから危険みたいな感覚だよね。
溜め息が漏れすぎて幸せが逃げていくんだけど、単純な話として、乳化剤をゼロにしたいなら、身の回りの加工食品のほとんどは適せず、半分以上は不味くて食えたもんじゃなくなる。
さらに界面活性剤を使うことで、どれだけ安価で安定的な品質のものが提供されているのかを無視している。適正量とコストや効率性との兼ね合いの問題。

 

はい次、リン酸塩ね。

リンがカルシウム吸収を阻害するのは事実。しかし問題は後段の、骨粗鬆症やイライラ感との関係性。
もうこれらに対してはかなり疑義のあるデータがあって、専門家の間でも意見が変わってきたりした部分。
そもそも大昔から日本人はカルシウムが足りないー、と言われていたわけ。小学校でも習うし、食品のパッケージにもよく書かれているレベル。

 

だからといってイライラしやすい国民性かといえばそうじゃなく、キレる子供や学級崩壊はむしろメディアで面白可笑しく可視化されている側面は否定できないし、骨粗鬆症に関しても明確な基準は近年になって定義されてきた話。
例えば、カルシウムで身長が伸びる的な都市伝説が昔からあるけど、もしこれが本当だと仮定すると、恒常的な不足の中でなぜ最近は若者の平均身長が伸びているのかが説明がつかない。
ゆえにこれらの様々あるカルシウム信仰は神話の域を出ない。

 

まぁこの手の話題で言えるのはバランス問題なんだけど、カルシウムもリンも体内で有用なわけよ。どっちかを取りすぎるとか偏るのがだめなわけ。というかカルシウム阻害ならシュウ酸の入っているほうれん草は食べられませんねwという話になる。

 

もっと言えば大規模で厳格な追跡実験をしない限り、一体どんな化学物質が人間の一生のうちでどう作用するのかを判断するのは本当に難しい。ジャンクフードばっかり食べている人が健康サプリメントを飲んで暮らしていて健康を害したら、果たしてサプリがダメだったのか、ジャンクフードが原因だったのかどっちなのか真に判断できるのかと。

人の食生活や生活スタイルを完璧にコントロールするのは人権侵害になり得るし、動物実験だからこそ再現できるレベルってよくある話。

 

というかね、人間の体は意外と優秀、というか、思った以上に複雑なシステムなんだよ。
動物実験での結果が全てなら治験なんて要らなくなる。身の回りの食物は全て化学式で表せる化学物質なわけだが、人体においてそれが胃腸で分解されるのか、肝臓で分解されるのか、そもそも成分は血液脳関門を突破できるのか、それらによって多様に結果は変わってくる。

 

はい、次に安定剤のこと。
ここでは増粘剤のことを言っていると思うけれど、これじゃ筆者の体にとっては海草やキノコ、あるいはネバネバしたモノ全般は害があるってことを言ってるのとおそらく同義になりかねんよw
というか、TVなどでリポーターが食感がなめらかーなんてセリフを多用して、提供された食品が持て囃される場面がよくあるけど、これらは消費者側が望むから使用されているものに過ぎない。
逆に増粘剤を添加しなかったら、なんだかパサパサしてね?ってことで全然売れなくなるから。

 

はい、最後、ph調整剤。
これが本当にこの記事中において最もまやかしに近い部分。
体内はアルカリ性がいいとか酸性に傾いているとダメだとか一時期散々言われたけど、もうそれは人体の恒常性が無意味と言っているのと同じ。
記事のコメント欄でも指摘されているように、じゃあ強酸性の塩酸である胃酸や梅干しのクエン酸はどうなんねん?と。
私に言わせれば、ではコスメ業界でスタンダードになってしまった弱酸性はおkなわけ?ならば基本的に汚れを落とすのはアルカリ性だがどうすんの?とか。
肌に触れるものに限らず、口に入れるものでいちいち中和が必要になってくるほど人体は無力なんすか、と。

 

あとは体内の細菌が死ぬ?馬鹿にすんなと。
例えば成人後は腸内フローラが強力に固定化されて、そのためにどんだけ下痢や便秘に苦しんでる人がいて、その体質改善のためにどんだけ苦労するかをまるで無視している。
医薬品である抗生物質でさえ、そのフローラの再構築は難しいし、もし記事中の言及が真実なら、耐性菌なんて出現するはずもなく、梅干しがあれば抗生物質は要らなくなってしまう。民間療法マンセーってことで、医学の進歩をあまりにも過小評価している。

 

というか梅干しおにぎりや、日の丸弁当はその殺菌効果を知っていた日本人の知恵なんだーという話がまかり通っているけど、食品の腐敗菌に対しての有効性には疑義があっていくらでも反証可能。
いや例えば殺菌効果のある食品て世界には多くあって、例えば胡椒や辛子もその効果が確認されている。


しかしそれらの活用意図っていうのは単に風味の問題であって、もし辛子に有意な殺菌効果があるなら、日本人は健康に有益なはずの納豆菌を殺しながら納豆を食べるという無意味なことをしていることになる。
というか辛子程度で細菌は死滅しないし、もっといえば胃酸があるからどっちでもいい話なんだけどね。例えばそうやって死んでしまった乳酸菌類も腸内にとって食物繊維的に有効活用されるのは有名な話。

 

筆者もきちんとエクスキューズとして保存性向上のためにph調整剤が添加されているのを認めているように、それがなければ賞味期限なんて気密性の高い室内で暖房完備の現代の世の中では数時間になってしまうし、風味が悪いとか腹壊して食中毒がー、とプロ消費者が騒ぎまくるに違いない。

 

なんだか成分が一括表示で詳しく表記されていないから安全ではないみたいな書き方もあるけど、それは法律で決まっていないから書いていないだけであって、そもそも書いたところで消費者はきちんと読み、自ら調べるんかいと。
どうせプロ消費者は市販薬の成分表や説明書をウキウキしながら読んだこともないだろうし、字面だけで判断して動く連中。

 

さらには複数の成分が使われているのも何だか悪い印象で書かれているが、んなもん市販の風邪薬レベルだって当たり前で、効果を補完増強するあるいは副作用を低減させるためだし、添加物程度でさえそういう使い方がダメなら漢方の処方などは全否定しなきゃいけなくなる。
どうせ漢方は自然由来100%の生薬だからおkみたいな言い分になるんだろうけども。

 

まー、ぶっちゃけ文中冒頭にナチュラルにTPPへの言及と絡めて内容が展開されていることではっきりするけど、単に全体的にイデオロギーありきで書かれているものなんだろうなと。

 

これを鵜呑みにするのは情弱の老害か、リテラシの低い全体の1%くらいだろうけれど、肝心のそういった人たちは声だけはデカいからなぁ。

チーズを毎日トラック1台分食べたら死ぬんだーとギャグに思えるレベルで騒ぐ分にはまだ面白いからいいけど、大抵はこの世の真理かのように実に"それっぽく"聞こえるように言ってくるからねぇ。

 

それは時に残りの全体にとってすごい害悪になり得るんだよね、ほんとにやめてほしい。健康宗教は身内だけに留めといてほしいわ。