四方山話シリーズ。
いまさら2018年大晦日のRIZIN那須川天心対フロイド・メイウェザーのエキシビジョンマッチを振り返る。
結果はいわずもがな、文字通り瞬殺と呼べるレベルだった。
そして多くの人に両者の経験、技術、階級(体格)差、そして歴然たる世界との差を感じさせるものになったのは記憶に新しい。
しかしだ、事後になって盛んに言われたのが、キック禁止のボクシングルールじゃなかったら勝てた、とかあるいは5億の違約金覚悟でキックを繰り出すべきだった論。
もうね、アホかと。
ルールって知ってる?
そもそも色々なルールに合意したからこそマッチメイクされたわけだよね?
つまり「両者がルールに同意」したわけでしょ?
キック禁止にしなければファイトマネーが跳ね上がってたとか、そもそもメイウェザーが受けてくれなかったとか、そんなプロセスどうでもいいわけよ。
ていうか圧倒的にメイウェザーのほうが格が上のレジェンドなんだから、日本が譲歩しなきゃならん立場だったのは当然っちゃ当然なわけで。
兎に角、最終的にRIZIN側や天心氏も合意したからこそ組まれたわけよ。
そしたらそれを守るのは当たり前じゃん。
んで、その決められたルールの上で、結果が出なかったらファンも言い訳しちゃダメなわけじゃん。
もしキックを使ってたら~、ってそれ単なる反則だから。
というかボクシングな!って言ってる相手に不意打ちでキック繰り出すとか、もはや凶器使ってるのと同じレベルだから。
そんなもん試合でもなければスポーツでもなく、エンターテインメントショーとしてすら成立しない。単なるなんでもありのストリートのケンカレベル。
そんなもんをファンは望んでいるのかと。本人たちが喜ぶかと。
※そもそも史上最高のディフェンス技術を持つメイウェザー。
もしルールを破ったうえで躱されたらその後リング上でどうなっていたか、、のリスクの方が高い。
また最初からキックで合意していたら、それはそれでメイウェザーがマジに準備してくるのは火を見るより明らか。
でも体重差はきつかったよね論
結局キックが有り無し関係なく、体重差は今回と同様であれば、また結果も変わらなかっただろう。
せめて同階級だったらワンチャン、、これに関しては正直その通りだとは思う。なぜボクシングや格闘技の世界に階級というものが存在しているのか、をまさに如実に表しているよね。
少なくともメイウェザーはMMA王者のマクレガー戦では見事に絞った肉体を披露していたけれど、天心戦ではぱっと見ちょっと体格のいいおっさんレベルの体。
とはいえ当日のメイウェザー氏の体の全てがぶよぶよの脂肪かといえば当然そんなことはなく、筋肉が隠されていたわけだ。
前日の計量で天心が62.1、メイウェザーは66.7キロと言われている。
例えば、これがそっくりそのまま筋肉量に反映されていたと仮定して考えてみよう。
パンチ力は体の様々な筋肉の動きに由来し、主に大きく機能するのは胸筋や広背筋などの大きなヒッティングマッスルだろうが、ここでは上腕の太さの差を考えてみる。
ちなみにこのサイトによれば、メイウェザーの二頭筋は14.5インチ。つまり36.83センチ。
Floyd Mayweather Height, Weight And Body Measurements
これをそのまま体重差の割合通り、天心氏の二頭筋の太さを計算してみると、
62.1/66.7=93.1%→36.83×93.1%=34.29cm、と推定される。
その差は約2.5センチ。
この数字だけ見るとわずかっちゃわずかだが、いわゆる「最大筋力」は筋肉の断面積に比例する、という法則がある。
円周の差の二乗が面積の差になるから、円周差1.07倍=面積差は1.15倍
そして筋肉1平方センチに対して、人間が発揮できる筋力はおよそ4~10kg。
ここは両者ともアスリートとして筋力1平方で最大10kgの腕力を発揮できたとする。
ここに先ほどの面積差をそのまま当てはめると、メイウェザーの方が「腕だけ」で1.5kg重いパンチを繰り出すことが出来るということ。
この逆に、天心氏は普段より1.5kgも重いパンチを受けることになるということ。
そしてこれは単に腕の筋力だけの話。
ここにさらに胸筋や広背筋の筋力差、脚力による回転速度の差、そしてボクシングのパンチング技術の差を加算していけば、ゆうに数倍もっともっと重いパンチになるってこと。
そりゃ普段の対戦相手とは重さが違いすぎるのだから、アゴやテンプルにヒットすれば脳震盪必至なわけよ。
と、完全にツッコミどころ満載で雑な計算だが、要は体重ってのはそれだけ大きく差が出る要素なわけ。
そんなものが分かり切っていながらGOサインを出したRIZIN、そして事後に手のひらを返したように本来マッチメイクしてはならない危険なファイトだと言った運営。
少なくとも那須川天心氏は、この超高齢社会の日本にとって貴重な若者の一人、大切に人生を歩んでほしいものだね。