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Self Review
文芸コンペ用の超短エッセイおよびリライト協力。
一篇は私の過去作品のリライト、もう一篇は前回協力に引き続き私のオリジナルではない。
オリジナル……
ほぼ原文通りといったところで、文字数的に多少のアレンジをしただけに留めた。
私の中では個人的に傑作に近く、これらを超える文章は当分書けないと思っているし、そしてこれがクオリティとして常に目指すところなのである。
感動・感謝、という分野においては非常にありがちな題材ではあるが、逆に経験者としては、これ以上のものは未だこの世に存在しない、あるいは私からは提供できないというのが悩ましいところだ。
リライト……
今回の場合は、ある程度のインタビューを行いつつ、箇条書きに近いものからの文章化となった。
そのため、やり取りの中で少しずつ形作っていったのだが、どうしても私の文体が出てしまっている。
作者の感性としては非常に美しく、それでいて繊細であるのは言うまでもない。
その持ち味を、タイトなスケジュールの中で私自身が十分に生かしてあげられていないのが、今回の心残りである。
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★届け、あの大空へ
今どこで何してるのかさっぱり見当もつかないが、これを見てくれているだろうか。
小さい頃からいっつもアンタに言われてたことがある。俺が何かに失敗するたびに、「そんなことぐらい予想しろ」って。三十になった今も、何かうまくいかないことがあると、その言葉を思い出す。そして、ちっとも成長していない自分に腹が立つ。
最後に会った葬式のとき、俺が喪主で仕切ってたはずなのに、色々空回りしてごめんな。
もっとうまくやれると思ったのに、やっぱりアンタには全然敵わない。
葬式の当日、弟さんにいきなりこう言われたんだ。
「君がもしこれから先、父を超えようと思っているのなら、それはとても素晴らしいことだ。しかし、そのことを重荷に感じる必要はない。君が君であることを大切にしなさい」
アンタを超えたいなんて、俺はアンタ以外の誰にも言ったことない。まさかそのことについてアンタの実の弟から突然アドバイスを受けるなんて、なんか因果なもんだね。
出棺のときさ、隣に誰もいないはずなのに、俺の肩にそっと手を置いてくれたのはアンタかい? 幽霊なんて信じちゃいないけど、あのときの温かく優しい感触は今でも忘れてないよ。
まあ、とりあえずさ、いつそっちに行くかわからないけど、気長に待っててくれよ。
そしてもし機会があったら、アンタの好きな骨董集めでもしつつ、二人で商売でもしてみようや。それが定年後の夢だったんだろ?
今までほんとに、ほんとにありがとうな。
この世で最も尊敬する――我が父へ――この文章を捧ぐ。
★リライト
先生へ
今まで忘れたことはありません。
そしてこれから先も、過ごした思い出を胸の中で温め続けていくことでしょう。
私が小学生の頃、先生は私を見捨てないでいてくれました。
内気でなかなか人付き合いが苦手な私を、先生の家に呼んでお話してもらったり、少しでも前に出られるように手を差し伸べてくれたり。
でもいま思えばその間、私はちっとも成長出来ませんでした。
そして迎えた卒業式。そんな私に先生はそっと手紙を渡してくれましたね。
あのときの優しい眼差しは、今でも鮮明に覚えています。
あれからずいぶんと時が経ちました。
もらった手紙を心の支えにしながら、いま私はほんのちょっとだけ、当時よりも人と接することが出来るようになったと思います。
いつか私が今よりもっともっと自分に自信を持てたとき、そんな姿を先生に見せに行きたいと思っています。
先生、ほんとうにありがとう。