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Self Review
所属同人指定のテーマ作品。
どうしても題材的に書くことに乗り気になれないものだった。
そのため、反感を買いそうな部分がややあるが、それを包み込むように、ラストに文調の転換を意識した。
いかに慣れないテーマを書くか。どうしてもそこは難しい。
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私のふるさと
故郷(ふるさと)――改めてこの文字を見ると、なんだか随分と重たい言葉に感じる。
生まれた街・育った街は、誰しもが持っている。でも、それらが故郷と呼ぶにふさわしいかと問われると、僕には少し疑問だ。
地域に対する帰属意識というものが、元々僕にはあまり無い。もっと大きな話で言えば、国というもの自体にも、愛国心などは抱いていない。単に偶然、そこで生まれ育ったにすぎないからだ。
これは多分、同じ日本で暮らす人々にはもとより、欧米人にとっては非常識極まりない考え方だろう。
だが自分の中で故郷というものは、そのとき毎に変化していくものだと捉えている。
興味があり行きたい街、訪れたことがあって思い出深い街、それらに思いを馳せ、僕の定義上の故郷は日々変わる。
僕には大きな目標がある。日本、いや、世界一周だ。おそらく誰もが一度は夢見て、多くの人々が妥協して諦めてきたであろう夢。
それをやり遂げるまで、僕は故郷を作る気にはなれない。
もしかしたら今後訪れる場所の中で、未だかつて無いとてつもない愛着を感じ、定住してしまう位の街があるかもしれないではないか。
まだ見ぬ街や国がたくさんあり余っているのに、故郷を一つに決めてしまうなんて実にもったいない。
行ってみて損した、期待外れだと感じる所もあるだろう。だがいつかきっと、こここそが僕の街だ、故郷だ、と思える場所に出会えるかもしれない。出会えると信じている。
その夢を叶えるために必要なのは……やっぱりお金だ。
ああ、宝くじは今回も当たらない。