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Self Review
当時の自分をモデルに、現代の若者像とを重ね合わせて半フィクションとして書いたもの。
やたらと粗削りな部分があるが、若者が抱く理不尽ないらだちは代弁出来ているのではないかと思う。
脚色はしたものの、実際に自分の体験や価値観を交えて、エッセイ的に仕上げることができた。
満足感はあるのだが、いずれリライトしてこの作品の雰囲気を保ちつつ、読みやすさも考慮したい。
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二十代の主張
ここにある一人の男がいる。まだ世間に出て数年程度の半人前の男だ。現在その男は自身の道に迷っている。いま立っているこの道を歩み続けることは賢明ではないだろう。だからといって自分の気持ちに嘘をつき、騙し続けることなど到底出来ない。その男にとって他人の目など無価値に等しいのだ。
人には生まれながらに多種多様な生き方があっていいはずだ。誰もが望んでこの時この世界に生まれてきたわけではない。言わば人間という種の歯車の一つとして勝手に生まれて来たに過ぎない。根本では皆が当たり前に分かっている摂理。なのに世の中は「こうでなければならない」というものにあふれている。協調性やコミュニケーション力が無ければいけないのか? 感受性が強い弱い人間は生きていけないのか?
なぜこんな他人の顔色をうかがう奴隷のような生き方を強制されなければならないのか。
これが世間の常識だ? 自分たちも苦労したから同じ苦労をしろ? 皆そうするのが当たり前だ? 絶対におかしい。もう弱者をいじめ、誰かから物を奪う時代ではないはずだ。
既得権益にのさばるだけで、偉そうにふんぞり返っている大人を僕は大人とは絶対に認めない。僕は大人が嫌いだ。というより人と関わること自体が大嫌いだ。社会に出て、自分の世界が広がれば広がるほど、くだらない価値観に満たされた人が加速度的に増えていくからだ。
結婚しない男がいると、最近の男はダメになったと言う。物を買わない若者がいると、最近の若者は無関心になったと言う。
なぜだ? あらゆる無駄を省き、システム化を叫んできた世界の当然の結果ではないか。そんな矛盾した世間に懸命に葛藤している者が、今ここに確かに存在している。何かを手に入れるために争うことの虚しさを、多くの人々は知っているはずだ。
ある時、ありついた仕事を一ヶ月もたたず辞めてしまった男がいた。理由は今となっては知る由も無い。それを見てある人は根性が無いと言った。人の痛みを感じ取ることすら出来ない精神論などもう沢山だ。
自分の生き方はその時の自分だけが決められるのだ。そこには他人のアドバイスも友人も家族すらも必要ない。地位も名誉も富も来世などには持ち越せない。いつ無くなるのか、また、あるかどうかも分からないものを信用など出来るものか。この身が朽ち果てる時、そこにあるとすれば充足感か後悔かどちらかだけなのだ。いつか僕の周りに誰も何も無くなったとしても、そこに記憶さえあればいい。今まで貰ってきたこの記憶だけがあれば、それは十分すぎる宝物だ。
この記憶の中には高い高い壁が存在する。それを超えなければ、僕は人としてスタートに立つことすら出来ない。過去にそれを乗り越えた人は、誰よりも強く、誰よりもロジカルで、最後まで生き方がブレることが無かった。僕がこのくだらない世界の中で最も尊敬する大人の一人である。自分も同じ位階に辿り着くためには、正攻法ではダメなのだ。
それこそ自分の国を作るぐらいの大きな野望と覚悟が必要だろう。しかし残念ながら、自分が住めるだけの小さな無人島を買い、最低限のインフラとライフラインを整備すると、日本円で大よそ二億かかる。世間のみならず貨幣という存在すら僕の自由の邪魔をする。
お金は無くせないのか? 幼い頃、こんな素朴な疑問を尊敬すべき人に問いかけたことがある。必要な「秩序」だと即答された。きっと正解なのだろう。だが僕は今もその答えに対して、疑問を抱かずにはいられない。今やあらゆる争いの根源ではないか。その人が無理だ当然だと言ったものほど覆さなければ、きっと僕はその人を超えることは出来ない。
僕には確固たる理想がある。許されるのなら世界をあるべき姿に導きたい。誰もが自由で誰もが笑って暮らしていける、そんな当たり前の世界に変えていきたい。そのために僕は世の中にいつまでも反抗し続ける。絶対に自分を曲げない、諦めない。これが僕が僕として生まれ、学んできた生き方なのだ。
夢を奪う世の中ではなく与える世界になってほしい。皆どこかで不満を抱いているくせに、馬鹿みたいに右倣えで他人に追従する。誰もが不満を抱えて我慢するものだ?
一度きりの人生でそんな簡単に許容することなど出来るものか。
幾多の先人達は世の中の既成概念や偏見にも負けず、常に理想に走ってきたではないか。誰かが声を上げれば、それはいつか必ず世界を変える大きな流れを生む。一部の無能な大人に未来を任せてたまるか。
僕はまず世の中に主張する―この世は絶対間違っている―理想をこの手に掴む為に、僕は今日も書き続ける。