よつまお

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アトピー・肌荒れ・ニキビ・吹き出物、、脱ステの話

脱ステ、所謂、脱ステロイドの話。たまにアスリートが使用して問題になるアレの話ではありません。主に肌に使用する種類のモノに対しての話です。
お肌にそれほど悩みがない方ってのは稀だとは思いますが、それでも掲題のようなものは人によってその酷さにはかなり差があるものです。
そしてまた、それにまつわるある種の宗教的とも云える間違った非科学的な話が巷には溢れています。
これで私は治った!とかこれが効く!とか、人の症状は千差万別なのに、統一的に効く民間療法があるならそれは間違いなく病院でも取り入れているはずです。
医学界の陰謀がー的な話にも発展しがちですが、何だかんだ効率が良くて結果的に治るから、皆医者にかかるわけです。別に少なくともそれが陰謀論にせよ何にせよ、何らかの体の異常が病院で治らなかった者だけが、民間療法を頼るべきです。
私も思春期辺りから若かりし頃まで、そういった情報に振り回され、時に苦しんだこともあります。そして私は当時ステロイドの使用を選びました。私がどうしてステロイドを始め、そして止めて、今に至っていったか、という話でも。
私の場合は幼少の頃にはアトピーに大分苦しめられたことが事の発端だと思います。とはいえ勿論、重症の方に比べればかわいいもので、ひざ裏、ひじ裏、首、手首、顔など、当たり前の感じの症状です。
元々汗っかきな体質がゆえもあったでしょうが、喘息も重なって間違いなく虚弱でアレルギー体質だったのは言うまでもありません。
そんな私が後に喫煙者となったり、ジャンクフードうまー、となったことは人体の神秘を感じざるを得ません。
さて、幼少期は親戚や家族の薦める桃の葉ローションや、よもぎローションなどの民間療法から病院の薬まで一通り試していました。もちろん桃の葉やよもぎには肌を清浄にする作用がありますから、抗炎症として使えなくもありません。私にはそこまで効果が無かったというだけです。
季節ごとにくる症状のピークをそうやって誤魔化し誤魔化し過ごすうちに、小学校高学年の思春期を迎えます。
その頃は全身のアトピーというよりはむしろ、部位としては顔、そして特にニキビに悩まされることが多くなりました。体質的にかなりオイリーな脂性なのが所以でしょう。
勿論それらにずっとコンプレックスを抱えていましたし、中学校辺りまでは病弱ぎみで学校を休みがちだったことも相まって、今振り返れば一通りのかわいいレベルのいじめもあったものです。
しかし生まれつき自分の体がこうなのだから仕方がないですし、それが醜いと一番思っているのは自分自身なわけで、別に他人の揶揄等に関心すらありませんでした。
さて中学辺りになると、段々と行動範囲が広くなるとともに、金銭的にも自由に使える額が多くなります。
そこで私はコンプレックス打破に向けて、ドラッグストア巡りをはじめます。
きっと自分に合う良い薬が必ずあるはずだ、と思ったわけです。
この時からの習慣が、今に繋がる私のドラッグストアマニアの始まりなのだと思います。
今でも店頭で新発売の薬の成分表を見ると、これはヨウ化イソプロパミドの代わりにベラドンナ系アルカロイド入ってて萌え~、とかこれはイソプロピルメチルフェノールからトリクロサンに変わって激アツ!と思ったりするアレです。
それはさておき、私はこのとき数々の内服薬や外用薬と試していくうちに、魔法の塗り薬を見つけます。副腎皮質ホルモン、所謂ステロイド、それもアンテドラッグverです。
アンテドラッグとは、塗布表面においては薬効がストロングレベルで、体内で代謝される際にはウィークレベルになるものです。
ステロイドの名前は当然知っていましたが、どうもその副作用に対してあまりいい話を聞かなかったために、物心ついてからは個人的には使用を忌避していたのです。
しかしこの体内で弱くなるというアンテドラッグなら、、とパッケージの説明を鵜呑みにしてしまったのですね。
それを使用して以来、私の諸々の顔の肌荒れ症状は劇的に改善します。当たり前ですね、ドラッグストアレベルとはいえ、ステロイドですから。
ステロイドというものは元々、何らかアレルゲンや病原体に対する体の過剰な免疫反応を抑えるものです。
そういった原因物質に通常の体は、炎症などの諸症状を起こして対処するわけですが、時にそれが狂ってしまったり、防御過剰になってしまうことがあります。それをステロイドが、気のせいだよー、と教えてあげれば、おk、となって勝手に治っていくという仕組みです。
ここで気をつけなければいけないのは、ステロイドというのは表面的に炎症や傷口を治ったように見せるだけで、肝心の原因物質は不明なことはもちろん、体の内部的には何も解決していないことがあるということです。
そのため薬の使用を突然やめると、すぐに症状がぶり返してしまうことがあります。これが所謂リバウンドというやつです。
しかし私はその魔法の薬で、一時的な平穏を手にします。
コンプレックスの強い傾向にある思春期。その後の私は、本来は体の自浄作用で自然と治るレベルの肌荒れや吹き出物にさえ、まるで美容液でもつけるかの如く、長期連用を繰り返していきます。
長期連用というのはどんな薬でも出来るだけ避けるべきことです。さらに言えば、ステロイドにおいてはニキビのような化膿を伴うような箇所への使用は本来禁忌です。化膿時に頑張って欲しい免疫作用を押さえ込むわけですから、当然です。
しかし私は肌のキレイさを優先してしまったわけです。
手持ちの薬の残りが少なくなってきたり、買いに行った際に店頭に置いていなかったりすると、それに連動するかのように途端に湿疹が出始め肌の状態が悪くなっていきます。もうここまで来るとノイローゼです。
そんな生活は高校を経て、専門学校まで変わらず続きます。このくらい長期にわたって使用をしていると、段々と副作用が体感できるレベルになってきます。
まずは、明らかに顔が赤ら顔傾向になったということ。これは普段普通に過ごしている分にはそこまで目立ちませんが、何か運動をしたり、辛いものを食べたり、緊張をしたり、とにかく顔の温度が上がると著しく気になるようになりました。
さらには日常的なケアを少しでも怠ると、肌の状態が必要以上に悪くなりやすくなったということです。それは日々の定期的かつ丁寧な洗顔や、その後の化粧水や乳液です。常に肌質を清浄な一定のレベルを維持しないと、それは顕著に肌荒れとなって現れてしまいます。
これには理由があって、私が使用したアンテドラッグは確かに体内で代謝される際にウィークレベルになるものです。
そのため、体内で本来副腎から分泌されているホルモンを阻害しにくいため、全身的な、あるいは内部的な副作用は少ないとされています。
しかし、使用患部である肌表面においては、ストロングレベルなわけです。顔や粘膜等はただでさえ皮膚からの薬の吸収が元々良く、出来れば使用を控えなければならない部分です。
そんな場所へ薬効で常に肌の免疫反応である炎症を延々と誤魔化し続けてきたわけですから、徐々に、俺たち(肌)ってこんなに分厚くなくていいんじゃね?となり、皮膚が薄くなっていきます。
それに伴い、本来皮膚が持っている防御力も弱まってしまい、外部的、内部的な刺激や異常に過剰に敏感になってしまうわけです。
この自覚症状があっても私はこのとき使用を続けていました。
なぜなら当時は美容学校に通っていましたから、自分たちをモデルとして行うメイクの実習授業もありましたし、最低限の見た目に気を使わざるを得なかったわけです。
少しでも使用頻度や量を減らしたり、ましてや使わなくなってしまったら、どんな惨状になるかはそれまでの経験則から分かっていました。ですからこのときもひたすらに使い続けたのです。
そんな薬が欠かせない生活は卒業後、社会人になってもひたすら続いていました。
当時は営業的な、人との対面も重要な職種に就いていましたから、肌の状態も悪くなるわけにはいかない、しかし当然社会人ともなれば生活も不規則になったり、外部から受けるストレスは増加する。
それによって肌が荒れて、薬の量や使用頻度は着々と増えていきました。段々と手持ちの薬では効かなくなってきてしまったわけです。
私はこのときになってようやく脱ステロイドを決意します。もうこんな生活は繰り返したくなかったのです。
いまは自覚症状としては現れていない全身的、あるいは内部的な副作用に対する恐怖もありました。
しかしここまで長期連用を繰り返してきて、それは決して容易なことではありません。
薬を断ったときの状況は誰よりも自分が良く分かっています。そんな状態でストレス無く今までと変わらず業務をこなす事は不可能に等しい。
そこで私は思い切って仕事をやめました。極端な話、誰とも会わず引きこもりのような生活をすれば、顔の肌がいくら醜くなろうと、自己が嫌悪感を抱くだけにすぎず、どうでもいいわけです。
何か買い出すものがあっても、極わずかな時間、まるで銀行強盗のようにマスクや帽子や眼鏡着用で外出すればいいわけです。
本来ステロイドを止める時には、使用してきた薬の強さや期間に比例して、時間を掛けて徐々に量を減らしたりしていくのが通例です。
しかし引きこもりの私に怖いものはありません。一気に薬を処分し、脱ステロイドを決行します。
リバウンドはそれはそれは激しいものでした。翌日の顔の状態は炎症の嵐です。大して触っているわけでもないのに、まるで掻き壊したかのように組織液がにじみます。そして猛烈なかゆみが常に襲ってきます。
日中であればそれを根性で耐えたり、氷で冷やすなどして誤魔化すことも可能です。
しかし問題は就寝を控えた夜間。寝るに寝付けません。やっと寝に入っても、必要以上に掻きむしり、翌朝の布団や枕は文字通り血だらけです。
それを出来るだけ回避するために、深爪を超えたレベルにまで爪をなくしたり、手袋をつけてみたり、時にはガムテープで両手をぐるぐる巻きに固定したことさえありました。
それでも結局睡眠中に無意識的にかきむしってしまう事は何も変わりません。肌はボロボロになりました。
しかしです。引きこもり生活でどのくらいが経ったでしょうか、変わらない毎日を繰り返すうちにある変化を自覚するようになりました。
傷や腫れ赤みなどを伴う顔中の炎症が、少しずつ自然と治るようになっていったのです。
当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、それまでは薬無しでは絶対に悪化するだけであったものが、ようやく洗顔や化粧水や乳液などの普通のケアをしているだけで治っていくのは当時の私からすれば奇跡と思えるレベルです。
結局、私が外出できるレベルの肌の状態になるくらいの脱ステロイドに要したのは、失業保険が切れる程度の期間だったように思いますが、実際のところ、段々と気にならない状態に治っていったわけで定かには覚えていません。
しかし少なくとも長い期間を掛けて、着実に、そしてゆっくりと諸症状が改善していったのは明確なことです。
それ以来現在に至るまで少なくとも約5年以上は、私はステロイドを使用していません。
しかしもちろん顔には前述の表面上の副作用は残っていますから、日常のケアは行い続けていますが、そんな当たり前のことだけで薬に頼らず過ごせています。
ただし蚊に刺されやすい体質なので、市販のステロイド含有の虫さされ薬程度は使ったりしますが、当然また長期連用することも無ければ、リバウンドもありません。要は使い方次第ということです。
後々に分かったことですが、私はコリン性の蕁麻疹症状を持っている疑いが強いということです。それに対しては、市販のステロイドは決して有効とは言い切れません。
ストレスなく生活するだとか、アレルゲンを多く含む食品を避けるなどして、出来るだけ症状を出ないようにし、どうしてもかゆみや炎症を強く感じるときには、抗アレルギーの経口薬で対処していますが、完治させるというよりもむしろこれは私が一生付き合っていくものなのだろうなぁ、と思っています。
しかし少なくとも、加齢によるものなのか、あるいはストレスを受けやすいサラリーマン生活から脱している現在だからなのか、徐々に湿疹や蕁麻疹等も頻度は少なく、軽減しつつあります。
また、乾燥や汗っかき、脂性による肌荒れはどの季節でも変わらずあることですが、薬用成分の化粧水等の日常のケアで十分に対処できるレベルです。
さて、ここまで書いてきて、私が強くお薦めしたいのは、現在ステロイドを使用している人が理由あって脱ステする際は、きちんと正攻法でしてほしいということです。
私はたまたま運が良かっただけで、もしアトピー症状の強い方が無理やり自己判断で脱ステロイドを行ってしまうのは、却って取り返しのつかないことになりかねません。
そしてこれからステロイドを使おうとしている人、キチンと、使いましょう。当たり前のことですが、薬には用法・容量を守って、という原則があります。
市販の虫刺されやかぶれ等の薬にも副腎皮質ホルモンとして記載されていますが、大抵はウィークレベルですから、長期連用や大量使用を避けるだけで良いのです。
私のようなバカな使い方をしない限り、ステロイドは間違いなく人類史上の偉大なる発明であり、比類なきとても良い薬です。
アトピーや皮膚科の外来で診察に行ったら、ステロイドだけ出されてすぐに帰された!という批判を良く聞きますが、それは医者として当然のことで責めることではありません。
医者は貴方の症状を改善するためにステロイドを出しています。わざわざ皮膚科を訪れるということは、それだけ早く症状が治って欲しいと願うからでしょう。
そんな人々の要望に対して、単なるかぶれにしろ傷にしろ、抗炎症薬としてこれほど優秀な薬はありません。
アトピー症状やアレルギー症状は、かゆみや痛みなどの日常生活に支障をきたす強い不快感が伴いますから、まず第一選択としてその患者の不快症状を抑えるという目的、あるいは患部が強く炎症していれば、そもそも正しい診察や検査の邪魔ですから、まずは炎症を抑えるために処方されるのが当たり前です。
普通の人であれば医者が出す薬を少し使うだけで、まず間違いなく表面の症状は治まり、後は人間本来の自然治癒力で完治します。
それでも治らないという人が出てきたときに初めて、医者は検査なりして別の診察や治療法を試すわけです。
たかだか数週間そこら医者が出したステロイドを使用したからといって、副作用もリバウンドも何も関係ありません。
どうしてもお肌に悩みを抱える方、めんどくさがらず医者に行きましょう。素人判断で私のようなバカを見なくてすみますし、結果的に安上がりで確実です。
そしてステロイドへの根拠の無い恐怖心や無駄な文句は、ある種の宗教的な民間療法を煽っているのと変わりません。
繰り返しますが大切なのは、正しい用法・容量です。お酒と同じく、合う人・合わない人がいるのは当然です。
ステロイド、素晴らしい薬です。副腎皮質ホルモン、ばんざーい。