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Self Review
2015年7月期規定テーマエッセイ。先行公開分。書き下ろし。
半年ぶりとなる規定分。
テーマ的にはすぐネタが浮かんだのだが、他の原稿や日々の業務に追われ、あまりにも休みすぎていたせいで、最後までいまいち筆が走らなかった。
小説形式と同じ流れで、書いているうちに初期構想とは違う形に仕上げようとしてしまう悪い癖があるようだ。
それが功を奏するならばよいのだが、たいていは話が散らかり気味になってしまうというオチがある。
せめて2ページ程度であれば、きっちりとまとめあげる感覚を戻さなければならないだろう。
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~私の好きな色~
透明なりたい、なれない
私は〝透明〟に憧れている。
ここでいう透明とは、純真無垢だとか、清廉潔白であるというニュアンスではなく、純粋に〝色〟としての透明である。
色彩として、透明を表現するのはとても難しい。例えば画用紙に何も色を塗らずにいたとしても、それは紙の色である白でしかなく、透明にはなりえない。真っ白な雲を、真っ白な紙に描くとき、そこには必ず白を塗らなければならないのだ。
何も色がついていない、ということがこの世では許されない。必ず各個人を識別するために所謂レッテルさえ必要とされる。それは、居住地域かもしれないし、所属組織かもしれないし、思想信条かもしれない。
誰々はこういう人間だ、私はこういう人です、ということを表に出さなければ生きられない。
なんと息苦しい社会なのだろう。
色が無い、ということがどれほど素晴らしいことか。誰かと、あるいは皆と同じ色に染まって一体何が楽しいというのか。
私は、透明になりたいのだ。
存在感を可能な限り無くし、まるで空気のようにそこにいるようでいない、誰も私という者に気付かず、容易く忘れ去ってくれる。何にも縛られず自由に飛び立つことができる、そんな生き方。
しかし、だ。
残念なことにそれはおそらくいつまでも不可能だろう。何かしらの型にはまっているということが、一人の人間として生きるということと同義でさえあるからだ。
透明になりたい。なれない。
それでもなお、私は透明に憧れる。頭で想像出来る限り、この世界のどこかにきっとあるのだから。