まず下記記事を読んで、どの辺が勝ったと言っているのか、皆目見当がつかないのだけれど。
例えばこれが、アプリのダウンロード数の伸びであるとか、アプリのアクティブユーザー数の推計について言っているのであれば、一部牙城を崩したと言えなくもないね。
流通総額あるいは取扱高を比較すれば、非常に残念だけど1桁違う規模の差があるけども。だからこそ最近は海外への投資を行っているんだろうけど、ヤフオクですら超えられなかったebayという巨塔にどう立ち向かえるのかは疑問。
一部で勝った勝ったと吹聴してみても、有利な状況で講和に持ち込んでくれる先の大戦の某国じゃあるまいし、いずれ粛々と物量で負けていくのみだと思うんだが。
売り文句がイコール弱点
メインターゲットはスマホを手放せない若者層。んでもって、取引や出品の簡易性をうたっている。最近はここに主婦層も加わってきているね。
とはいえそもそも、で言えば昔はモバオクなりビッダーズなりが若者のC2C取引の主戦場だったのは明白なわけだけど、じゃあそれらは今どうなっているのか??
敢えてステレオタイプに書けば、バカで幼稚で自己中な若者だって、いずれ年食って大人になるんだよ。んでもってこの国は絶賛少子高齢化中。
極論を言えば、若者向けの簡易なツールだけが出回ったところで、いずれ市場は頭打ちになるってこと。
無秩序と隣り合わせの簡易性
単にヤフオクと比較するならば、間違いなく若者はメルカリ派であろうし、操作や取引の簡易性もメルカリに先見の明があると思う。
ただし当然に、ヤフオクもここ最近着々と「かんたんさ」を劇的に改善してきているわけで独占的なメリットでもない。
最初はどこだって自由で、皆こぞってその世界に集まるもんだよ。しかし市場がでかくなればなるほど、ルールは新しく作られるし、窮屈にもなっていく。だけどそれらと引き換えに、取引の確実性や安心感は担保されていくってこと。
以前のモバオクはどうだったか。一部でも当時垣間見ていたことがあれば、まさしくアンダーグラウンド性のメッカであったものだね。これは黎明期のヤフオクも同じこと。
このバランス調整の難しさを、新興のフリマアプリたちが如何にユーザを離れさせずに達成できるかがカギ。
取引高を伸びさせない悪習
いつの間にかメルカリ上で当たり前になった送料込みや、値下げ要求。当たり前だが、若者は金がないわけ。そもそも金があれば、店で新品を買っているだろうし。だからこそ、メルカリ上ではより安く、が追求されるんだよね。
しかしそれは同時に、高いものは「高い」というだけで見向きもされないってこと。まぁこのことはヤフオクでもどこでもその傾向はあるけれど、メルカリユーザは残念ながら市場価格をまるで分っていないし目の前の超絶便利デバイスで調べようともしないので、どうしようもない。
すると必然的に、商品の持つ本来の価値が反映されず、取引高は正当に「のびない」仕組みが出来上がってしまう。これは買う側にとってはメリットであるが、売る側にとっては労多くして得がないってわけだ。
というかヤフオクもモバオクも、ユーザ同士の交渉事は以前は活発に行われてきたことだからね。しかしそれは段々と取引の安定性のために自然と淘汰されていくもんだよ。
そもそもスマホで管理は出来ない
これもモバオクでもヤフオクでも、過去ではまさにC2Cで私たちの世界だああぁぁってなっていたものだけど、当たり前に稼げる場には素人以外、つまりはっきり言えば業者が参入してくるってこと。
これは最近のメルカリでも少しずつ目に見えてきていることだね。悪く言えば、市場価格の無知さを餌にされて、狩り場になってきつつあるわけだ。
でもそんな彼ら業者たちが取引高をけん引しているのも事実。
そうなると出品数ってものは各業者が多く揃えることになるわけだけど、残念なことにその莫大な品目数の大量出品を管理できるツールはスマホには無いし、当然メルカリアプリの標準機能にも無い。
いずれアプリの機能で近いのものは出来るだろうけども「出品」という煩雑な作業を考えればスマホではなく取引のメインはPCで、という時代はまだまだ続いていくのは想像に難くないかな。
メルカリが本当に勝つには
最初はニッチ戦略を取りながら、いずれ資金を潤沢に整えたところで、勝負に出る。
これはどんなビジネスでも王道に言えるところかもしれないね。
その意味では、下記の点が重要。
- スマホでもPCでも簡単に
- 若者でも老人でも扱える
- 個人も業者にも優しい
- 売り手も買い手も満足する
- 取引は安心に確実に
なーんだ、なにも具体的なことじゃないじゃん。と思いがちなんだが、これは未だどのC2C市場もすべてのポイントを網羅した十分形での達成ができていないこと。
まぁ逆に言えば、そのバランスの取り方がそれぞれの市場の個性にもつながってくるんだけどね。
これらの極々当たり前に思える理想を叶えていくだけで、いつの日か真の意味でヤフオクを抜くこともやぶさかではないかもしれないね。
まぁ残念だけど、グーグルやマイクロソフト、アップルを凌駕する世界企業がなかなか出てこないのとほぼ同義で、物量作戦で追い抜けないだろうけどね。
局所爆発的にシェアを伸ばしたところで、新興のイメージはつきもので、最後に買う側が行き着くのは大規模さや安心感だからね。
ただし唯一罠がある
まぁ、そもそもがリサイクルだのシェアリングだのが伸びているのは、明らかにデフレだから、が理由。別にヤフオク市場が支持されているわけでも、メルカリアプリが支持されているわけでもなんでもない。
金がないから、わざわざ他人と取引して安くしようとしているだけ。でもめんどくさいし不安なので、簡易性や安全性を求める。まさしく本末転倒なんだけどね。
もし本当にユーザーエクスペリエンスなるものが評価されているのだとしたら、なぜヤフオクでメルカリで、物は売れるのかね?なぜレンタルまでして所有欲や物欲を満たそうとしているのかね?
つまりこれからはフリマアプリの時代だー、とかメルカリがスタンダードだーとか言うのは幻想で、時代と共に勝手に消費者という流民は自らが適した場所に漂流していくだけだと思うよ。