野蒜(のびる)ってモノを知ってる方はどれくらいいるんだろう?
おそらく都会のシャレオツな環境で育ったナウいヤングたちはきっと名前すら知らんだろうな。
しかしこんなに手軽に育てられて栄養価豊富な野菜(野草)で、さらに簡単にほぼ日本全国で採れるっていうのはなかなか無いと思うわけよ。
ということで今回は日本に古くからあるノビルについて掘り下げてみようかなと。
まずはちょっとしたお約束
野蒜ってのは野菜っていうよりは、むしろ野草。いやそれどころか雑草ともいえるレベルで本当にどこにでもあるんだけどね。
それこそ田んぼとか畑の隅っことか原っぱなんかにひっそりと生えてるわけよ。え?そんなド田舎じゃないって?w
だったら近くに川とか土手とかないかなー、あるいは公園の一つや二つあるでしょ。
ってことでもはや土のある所だったら生えているといっても過言じゃないレベル。
んで、そういうところからまずは少量を入手して増やしていくわけだけど、一応大前提として、勝手にどっかから(人の土地から)持ってきちゃダメよってこと。
例えば公園とかでも、整備されている花壇から草木を勝手に引っこ抜いてきちゃいけないのと同じなわけよ。
まぁ本当に雑草レベルしか生えてない無整備な区画から、常識の範囲内の量を持って帰る分には大きな問題にならないと思うけれど、
場所によっては管理している事務所の人などにきちんと許可を取ってから貰うようにしようね。
(もし地元の農家さんとか野菜の直売所とかあったら、そこで聞いてみて入手するのが間違いないね)
んで、ノビルってのはどんなモノ?
まずは今回の収穫物の実物を見てもらおうかな。
結構大量ww だいたい100本以上あるよ。ありがとう、管理局のおじちゃん!w
イメージや風味としては、便秘解消効果で人気な「エシャレット」と同じような感じ。
※エシャ「ロット」(たまねぎ)の方じゃないよ。エシャ「レット」(らっきょう)の方。
なおノビル自体は多年草で、一応ねぎの仲間ってことになってるよ。
どうやって採るの?
わりと根が強い(多い)わりに、茎や葉がもろいので、そのまま土から引っこ抜こうとするとまず間違いなく途中でちぎれちゃう。
なので、余程土がふかふかに柔らかい場所は別として、基本的に小型のスコップやシャベルは必須。
しかも地中深くに埋まっているので、丁寧に周りを掘り起こしながら採らないと本体を傷つけちゃって、食べるには適さなくなっちゃうので注意が必要かな。
慎重に優しくひっぱって、丸ごとキレイに採れた時の感触は快感w
栄養や効能などは?
もうね、褒めればキリがないレベル。さりげなく漢方にも利用されちゃったりしてる。
ビタミンもミネラルも豊富、ってことで、美肌・美容効果アップ!ww
食物繊維で便秘解消やダイエットにも最適!ww
ネギっぽい独特の硫化アリル系の香味成分で疲労回復!ww
さらに葉酸も含まれているので妊婦さんにも嬉しい、そして鉄分がなんとホウレン草より多いので女性の強い味方!!ww
※ただし上記は100g中の話なんで、それなりの量を食べなきゃだけどね。。
まぁでも逆にたくさん採れるものではあるので、本当に健康効果を望むならオススメできるとは思うよ。
どうやって食べるの?
おもむろに丸い鱗茎(球根みたいな部分)を味噌にでも付けて、そのまま生でかじる!w わりとスタンダードはそんな感じw
でもこれが一番独特の風味とさわやかな辛みを味わえて、個人的には好きなんだけどね。もちろん好みはあると思うw
ちなみに鱗茎だけじゃなくて、何センチか少し上くらいまでの白い茎の部分だったら生で美味しく食べられる。
ただし微妙に薄皮が付いているので、剥いた方が口当たりはいいよね。
緑の部分はそのまま刻んで薬味的なアサツキ感覚で使うこともできるけれど、
若干育っちゃってると食感的に食べづらいので、鱗茎部分も含めてニラみたいな感覚で炒め物にすると結構どんなものにでも合うと思うよ。
(その際に茶色く枯れてきちゃってる葉の部分は、もちろん取り除こうね)
まぁ加熱するにしても、生食するにしても、どっちかと言ったら濃いめの味付けで料理した方がノビル自体の良さを引き出せるんじゃないかな。
注意点!毒草との見分け方
実は良い事ばかりじゃないんだ、ノビルちゃんも。。似てる草があってだな。。
っていうか野草ハンターにとっては、日常茶飯事のいわゆる毒草との見分け方問題。
ごくごくたまーに、ノビルと間違えて採ったものを食べて食中毒を起こす例もあったりするわけよ。(でも知っていればまず間違わないレベル)
ってことで、まずはホンモノ自体をきちんと見てみよう。
鱗茎部分のアップ。
基本は白。これはせいぜい2~3cm大の物だけど、大きくなるとピンポン玉クラスになったりもする(美味しいかどうかはまた別w)
土や泥で薄皮が汚れていることもあるけれど、基本的に色は白なのでこれが見分けるうえで一つの大きなポイントになるよ。
薄皮をむいてみるとこんな感じ。
※いわゆる毒草の場合、そもそも食べるために鱗茎の部分を洗ってみた時に、白ではなく茶色の薄皮などに覆われているのでその時点でおかしいと気づく。
次に白と緑の中間部分。
うっすらと見える縞々加減が、いわゆるネギだよね。そして緑の葉は薄皮部分が分化するように成長しているわけよ。
つまり明らかに節があったり独立して葉になっているものは違う野草ということ。
そして上方の緑の部分。
これも質感的に、葉というよりは明らかにネギのようなしっとりと柔らかい肌ざわり。真緑ではなく、うっすらと粉が吹いたように白みがかってる。そして形状が丸まっていてV字ないしU字型に近い。
つまり扁平で固い葉は別の植物だということだね。
うん、これでもうアナタもノビルマスターだ!w
っていうかいわゆる間違えやすいとされているのは、タマスダレとかスイセンっていう野草なんだけど、こうやって一度でもホンモノを見たり接したりしたことのある人はまず間違えない。
そして見た目だけではなくて、もっとも肝心なのはその独特の芳香。
何度も先述のように、ノビルはネギの仲間なので葉の部分をちぎったり揉んだりしてみると、明らかにネギ臭がするんだよね。
だから無臭だったり、単なる草や葉っぱの匂いしかしないんだとしたら、完全に別物。
もうそれでも分からん!って場合は、いっそ鱗茎部分をちょっぴりかじってみればいいw (ニセモノは球根ぽい苦みのある味w)
そこでネギのような辛みや匂いがなかったらやめておこう、これなら誰でも確実に見分けられる。
注:ちなみにもしタマスダレやスイセンを食べると、頭痛やけいれん、嘔吐や下痢に見舞われますw
※あとは所謂開花の時期がどれもズレてるので、その時期に採りに行くことで見分けることも出来るけど、ノビルの旬とは微妙に違ったりする。
ノビルを採ってきたらどうするの?
一応開花前後の時期のムカゴっていう部分(いわゆるネギ坊主的なモノ)を土に植えるのが正攻法になるんだろうけど、
ぶっちゃけ普通に鱗茎部分をそのまま植えておけば勝手に増えるw
さてさて、見事まごうことなきノビルをゲットしてきたら、まずは仕分け作業。
こちらはちょっと大きめのもの。丸々としているものはどんどん鱗茎が分化していきやすいので植えてもいいし、もちろん食べてもいい。
こちらはやや小ぶりなもの。※右端にさっき薄皮をむいたものがあるけどw
もちろんこれらも植えてもいいし、食べるのもいい。鱗茎の大きさや育った土壌によって風味も変わるので、食べ比べてみるのもいいね。
全120本程度を仕分け後の全体はこんな感じ。
下半分にあるのは、明らかに小粒すぎるもの、茎や鱗茎を大きく傷つけてしまったものなど。食用にはちょっと適さない。だけどこれらもぶっちゃけ植えれば育つw
どうやってノビルを植えるの?
まずプランターを用意します。そして園芸用の土を入れたら、おもむろにそこに植えます。以上、終了ww
うん、ザ・簡単ww 完成図はこんな感じ。これで40本くらいかな。
それほど日当たりは気にする必要はないけど、やっぱり日向で育てるのがベスト。
栽培に当たってあえて気を付けるとしたら、水がひたひた状態はノビルが嫌うので、出来るだけ水ハケは良くしてあげること。
ちなみに鱗茎含めちょっと上の白い部分程度までを植えてあげればよくって、緑の葉の部分は取っちゃってもおk。
でもなんとなくほんのりネギ臭で虫よけ効果になるかなーって期待で、私の場合は残して植えてるけどね。
(そもそもせいぜい虫がついてもアブラムシとかなので。というか旬の4月~5月が過ぎると、勝手に葉は枯れて落ちていく)
肝心の収穫時期は?
気候や栽培環境にもよるけれど、上手くいくと年に2回は食べられる時期があるよ。
基本は春(4~5月)と秋(9~10月)くらい。ただしやっぱり美味しさと風味共に旬なのは断然!春!
葉がぐんぐん伸び出すので見た目ですぐわかるよ。その頃には鱗茎も大きく育っていく。
ちなみに春~夏には先述のムカゴが出来るので、1年に1回の貴重なノビルちゃんのアピール時期w
※参考:ムカゴに成長していく際の花茎
他の茎とは違って、しっかりと上に伸びて先端が膨らんでくる。(ただしムカゴまで成長せずにそのまま葉を落としていくパターンもある)
さらに成長するとこんな感じ。
このムカゴの成長過程こそがノビルちゃんの見せ場。だんだんとそれっぽくなっていくね。
経過としては、葉(茎)が落ちても残暑も終わった秋ごろには再び芽を出していって、また冬には枯れていくという流れ。でもその間もノビルちゃんは地中で根を伸ばし、鱗茎を分球させながら栄養を蓄えているわけよ。
密集して増えていってしまうので、プランターなどの広さとバランスを取って、適度に収穫してあげようね。空いたスペースで別の植物を育ててもおk。
(生育環境が似てるネギ系のワケギとかは育てやすいかもね。間違っても先述のスイセンとかタマスダレを近くに植えちゃダメw)
寒さにも暑さにも強く、土の栄養とか日当たりとかもそんなに気にしなくていいという、まさに勝手に「ノビル」ww
ベランダガーデニングやズボラ家庭菜園向きなので、みなさんも興味あればぜひノビル生活してみてくださいな!
追記:秋のノビルちゃん
夏前には葉を落としていったノビルちゃん。それから地中に引きこもること数か月、、
暑さも落ち着いて9月になったころ、いつの間にか再び茎をのばし始めてぐんぐん元気に成長していく姿がこちら。
※大葉、紫蘇、さつまいもなどと同時にプランターで栽培していますw
一応じゃんじゃん分球していくのでこの時期に収穫してもいいけれど、せっかくなら旬の春まで楽しみに採っておくのもまたアリ。
台風による風雨にも負けずに本当に丈夫。栄養を蓄えてしっかり大きい鱗茎に育っておくれ。
追記:旬を過ぎたり生育が悪いとき
ちょっと収穫時期をミスっちゃったりなどで、茎(葉)の先が枯れてきてしまったり、
または増えまくって1つ1つの生育が悪い時は、とりあえず思い切ってある程度掘り起こして、根っこごと収穫してしまおう。
っていうか狭いプランターで植えていると、どうしても根が増えすぎちゃって栄養や水が足りなくなってくるんだよね。
そこでプランターを大きいものに変えられない場合は、間引く方がいい。てかぶっちゃけまたすぐ増えてくれるのでw
んでんでちょっと旬が過ぎたりするとわりとすぐ葉が枯れてくるので、鱗茎のみだと炒め物とかの具材として加熱料理で活用しにくいし、
かといって生食してもいいんだけど、生育が悪い時には1つが小さくて、食材として使いにくいことに加えて風味が落ちる。まぁそもそもそのままはわりと食後の匂いがキツイのでw
というわけでそんなときのオススメは、王道の甘酢漬け。
レシピは、汚れたり傷んだ部分は切り取ってしまって、あとはひたすら某かんたん酢的なものに入れておくだけ、以上終了w
こうやっておくとしばらくはストックとして日持ちするし、独特の風味がまろやかになってさっぱりと食べやすい。油モノの箸休めとかお肉料理の口直しとしてもいい感じ。
活用方法は無限大。これをさらにアレンジして、何かの料理の材料に使ってみるのも面白いと思うよ。